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無料の広告アカウント診断の提案書を前に、どこまで信頼してよいか考えている担当者のイメージ

無料の広告アカウント診断で分かること・分からないこと:受ける前の予備知識

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無料の広告アカウント診断で分かること・分からないこと:受ける前の予備知識

アドサプリ運営チーム2026.08.27
無料の広告アカウント診断の提案書を前に、どこまで信頼してよいか考えている担当者のイメージ

広告アカウントを無料で診断します、という案内を代理店のサイトや営業メールで見かけたことがあると思いますが、立ち止まって考えたことはあるでしょうか。管理画面を開いて設定と数字を追う作業は、1アカウントあたり2〜3時間はかかります。運用経験者の半日を、なぜ無料で差し出せるのか。この問いに答えられると、無料診断とのちょうどよい付き合い方が見えてきます。

先に断っておくと、この記事は無料診断を否定するものではなく、使い方次第で十分に価値があり、実際に設定の不備が見つかって助かったという話もよく聞きます。ただし、無料である理由からくる「見える範囲の限界」と「指摘の傾向」は、受ける前に知っておいたほうがいい。分かること・分からないことの線引きと、受ける前に決めておくべきことを、提供する側の事情も含めて見ていきます。

この記事の要点

  • 無料の広告診断の多くは、代理店の新規顧客獲得(営業プロセス)の一部。だから無料にできる。これは善悪ではなく仕組みの話
  • 無料で分かるのは主に設定面の指摘。事業の文脈を踏まえた評価や、継続的な改善の伴走は範囲の外
  • 受ける前に「目的」「渡す権限」「結果の使い道」の3つを決めておくと、営業の流れに飲まれずに済む
  • 診断そのものが商品である有料の外部チェックは、乗り換えを前提にしない点が構造的に異なる

1. なぜ無料でできるのか:営業プロセスの一部という構造

答えはシンプルです。無料診断は、広告費ではなく営業費でまかなわれています。代理店にとって無料診断は、新規の顧客と接点を持ち、既存の運用の改善余地を示し、「うちに任せませんか」という提案につなげるための入り口です。診断→課題の提示→提案書→乗り換え、という流れの最初の一歩に位置づけられています。

時間には上限があります。営業の入り口である以上、そこは動きません。よくある進み方は、閲覧権限を渡してから1〜2週間ほどで、提案書とセットの30分〜1時間の報告会が組まれる、というものです。1つのアカウントに何日も張り付くことは無料の枠組みでは構造上できず、この時間の制約が後述する「見える範囲」の限界にそのままつながります。

これは批判ではありません。歯科の無料検診も、住宅の無料点検も、保険の無料相談も同じ構造で成り立っていて、専門家の時間を無料で使えるのは、その先に本業の受注が見込めるからで、経済的にはまっとうな仕組みです。実際、診断の中身自体は真剣に作られていることが多く、手を抜いた診断では提案につながらないので、そこにはむしろインセンティブが働きます。

ただし、構造は指摘の傾向を方向づけます。診断の出口が「乗り換えのご提案」である以上、指摘は「現状の問題点」に厚くなりやすく、「今の運用の良い部分」には薄くなりやすい。嘘を書かれるわけではなく光の当て方が営業の目的に沿うということで、この傾向を知らずに読むと実際より深刻な状態だと感じてしまうことがあります。なお、Google関連を名乗る診断営業の電話には別の注意点があり、「正規代理店を名乗る営業電話」に書きました。

2. 無料診断で分かること:設定面の指摘

範囲の限界の話に入る前に分かることを正当に評価しておくと、無料診断でも管理画面を見れば判定できる「設定面」の指摘はかなり拾えます。具体的には次のようなものです。

①コンバージョン(CV、問い合わせや購入などの成果地点のこと)計測が設定されているか、動いているか。②検索語句に対して除外キーワードが整備されているか。③キャンペーンや広告グループの構成が入り組みすぎていないか。④広告文やアセットの本数・品質が足りているか。⑤リンク先の切れやモバイル表示の破綻がないか。⑥自動化の設定が放置されていないか。このあたりは、見る人が見れば30分〜1時間で判定でき、直せば効果につながる指摘です。

報告の形式は会社ごとに差がありますが、チェック項目に○×を付けるスコア型か、提案書の中に課題として並べる型が主流で、どちらの場合も並ぶのは管理画面から判定できる項目である点は共通、逆に言えばそこが無料の限界線でもあります。

実際に出てくる指摘の例を挙げると、コンバージョンタグがサンクスページ以外でも発火していて件数が水増しされていた、部分一致の検索語句が半年間ノーチェックで広告費の2割が無関係な語句に流れていた、といった発見は無料診断でも十分に期待できます。月の広告費が50万円なら、後者は毎月10万円、半年で60万円の話です。設定面の事故は、見れば分かる。

つまり、健康診断でいう身長・体重・血圧のような「測れば分かる」項目については無料診断は機能し、何年も外部の目が入っていないアカウントなら、この範囲の指摘だけでも受ける価値はあります。どんな項目が見られるのかの全体像は「広告アカウントの健康診断チェックリスト」が参考になるはずです。

3. 無料診断で分からないこと:事業の文脈と継続

限界は大きく3つあります。1つ目は、事業の文脈です。CPA(CV1件あたりにかかった広告費)が1万2,000円という数字は、1件の成約から粗利がいくら生まれるかを知らなければ、高いとも安いとも言えません。問い合わせの2割が成約して1件で粗利15万円が残るならCV1件の価値は3万円で1万2,000円は十分に安いのですが、同じ2割でも粗利が3万円の商材なら、CV1件の価値は6,000円で、この広告は倍の赤字です。粗利、成約率、リピートの有無、営業体制。この文脈は管理画面のどこにも書かれておらず、初対面の診断者が短時間のヒアリングで把握するのは無理があるため、無料診断の評価は「設定として正しいか」に寄り、「この事業にとって良い広告か」までは届きにくいのです。

2つ目は、継続的な改善です。診断は1回の写真であり映るのはその瞬間の状態だけですが、広告運用の質は変更の履歴や検証の積み重ねという「動き」に表れます。1枚の写真では、先月からの改善も、放置の年数も見えません。3カ月前に直したはずの除外設定が元に戻っていても同じ1枚には「除外が入っている」としか映らず、指摘を直したあとに効果が出たかの追跡も、1回きりの無料診断の範囲には含まれません。

3つ目は、すでに触れた優先順位の傾向です。挙がった10個の指摘のうち本当に成果に響くのはどれで、どれは細部の体裁なのか、この重み付けが営業の文脈で強調されている可能性は割り引いて読む必要があります。危ない代理店ほど不安をあおる診断書を作る傾向もあり、その見分け方は「危ない広告代理店の見分け方」で書いたとおりです。

限界を実感しやすい例を1つ挙げます。診断書に「キャンペーン数が多すぎるので統合して学習を集中させるべき」とあったとします。設定論としてはもっともらしい指摘です。しかしその会社が、地域ごとに予算枠を分けて管理する事情を抱えていたらどうでしょう。統合はむしろ管理を壊します。設定の正解と事業の正解はときどき食い違い、その判定には事業の文脈が要りますが、その文脈は短時間の無料診断では運びきれないのです。

※ 営業前提ではない診断がどんなものか知りたい方へ ― 診断そのものを商品として提供している月次診断「アドサプリ」の実際の診断レポートのサンプル(無料)を用意しています。指摘の書かれ方の違いを見比べてみてください。

4. 受ける前に決めておく3つのこと

事前に3つ決めます。それでも無料診断を受けるなら、そうしておけば営業の流れに飲まれずに済みます。

1つ目は目的です。「乗り換え先の候補を探している」のか、「今の運用の答え合わせがしたい」だけなのか。前者なら無料診断は選考の場として合理的で、後者なら受けた後に乗り換え提案が来ることを織り込み、断る前提で聞く姿勢をあらかじめ決めておきます。目的が曖昧なまま受けると、提案書の熱量に判断が引きずられます。

2つ目は渡す権限です。診断に必要なのは読み取り専用(閲覧のみ)の権限だけで編集権限を渡す理由はどこにもなく、まれに「設定も直しておきます」と求められることがありますが、診断の段階では断ってください。Google広告なら権限の種類は招待するときに自社側で選べます。読み取り専用にしておけば相手は設定も数字もすべて見られますが1つも変更はできず、既存の配信が触られる心配なく中を見てもらえます。

3つ目は結果の使い道です。乗り換えなくても使えます。ここが一番もったいない部分で、無料診断の指摘は捨てる必要がありません。設定面の指摘リストを今の代理店に渡し、「この指摘は当たっていますか。当たっているなら直してほしい」と依頼すればいい。今の代理店を替えないまま診断の成果だけを運用に反映させる使い方で、指摘が事実なら運用は改善し、事実でないなら今の代理店への信頼が1段深まります。どちらに転んでも損がありません。

この3つを決めてから受ければ、無料診断は身構える場ではなくなります。逆に決めずに受けると、目的は相手のペースで「乗り換えのご検討」に設定され、権限は言われるままに渡し、結果は提案書の結論に沿って解釈されることになります。差が付くのは診断の中身ではなく、主導権の置き場所です。

5. 有料の外部チェックとの違い:構造がそのまま中身の差になる

最後に、有料の外部チェックとの違いを構造で比べます。有料のチェックは診断そのものが商品なので報酬の出どころが「診断の依頼主」であり、乗り換えの受注を前提にしない、この1点が見る範囲と指摘の傾向をまるごと変えます。時間軸で言えば、無料診断は「乗り換えを検討する数週間」のための道具、有料のチェックは「任せ続ける数年間」のための道具です。年に1回の写真と、年に12回の定点観測。用途が違うので、どちらかがどちらかの代わりにはなりません。

場面で言えばこうなります。代理店の乗り換えをすでに決めているなら、候補の2〜3社に無料診断を依頼して提案の質を見比べるのは理にかなった使い方です。まだ決めていないなら順番は逆にしないほうがよく、先に営業前提の診断を受けると提案書の熱量が判断を先取りしてしまうからです。

観点 無料診断(営業の入り口) 有料の外部チェック
費用の出どころ 提供側の営業費 依頼主が診断に対して支払う
提供側のゴール 運用契約の獲得 診断の品質と継続
指摘の傾向 課題の提示に厚くなりやすい 良い点も悪い点も同じ重みで書ける
継続性 原則1回きり 定点観測として続けられる
今の代理店との関係 乗り換え提案が前提にある 替えない前提でも成立する

使い分けの指針はこうなります。乗り換え先を探しているなら無料診断は候補の力量を測る場として使えばよく、今の体制を続けながら運用の質を確かめたいなら、営業を前提にしない有料のチェックのほうが目的に合います。どちらの場合も、渡すのは閲覧のみの権限で足り、今の代理店との契約はそのままで受けられます。自分でやる場合の手順との違いも含め、判断の材料は本文で挙げた各記事にまとめてあります。

無料か有料かは、品質の上下ではなく目的の違いです。無料診断の提案書を受け取ったら、この記事の線引きを思い出して設定面の指摘だけを抜き出して活用する、それだけで無料診断は「営業される場」から「情報を取る場」に変わります。受け取った後の行動まで設計しておけば、どちらの診断も、広告費の使い方を良くする道具になります。

※ 替えない前提で運用の質を確かめたい方へ ― 読み取り専用の権限だけで受けられる月次診断「アドサプリ」の実際の診断レポートのサンプル(無料)から、指摘の粒度をご確認いただけます。

よくある質問

Q. 無料診断を受けたら、乗り換えを断りにくくなりませんか?

A. 受ける前に「今回は診断だけで、運用の変更は予定していません」と一言伝えておけば、断る場面はぐっと楽になります。それでも提案は来ますが、営業の一環である以上それは自然なことで、断ることに引け目を感じる必要はありません。しつこさの度合いは会社によって差があるので、初回の連絡時の対応の丁寧さを、そのまま相手を測る材料にするとよいです。

Q. 無料診断の指摘内容は信用してよいのでしょうか?

A. 設定面の事実の指摘(計測が動いていない、除外キーワードがない等)は、管理画面を見れば真偽を確認できるので信用しやすい部分です。一方で「改善すればCVが2倍になります」といった見込みの数字は、根拠の前提を必ず確認してください。事実と見込みを分けて読み、事実の部分だけを今の代理店への確認依頼に回すのが、いちばん堅実な使い方です。

この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム(運営:ライムクロス株式会社)。現役の広告運用者が、月次の広告アカウント診断「アドサプリ」を提供しています。

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