コンテンツまでスキップ
施術の合間にタブレットで当日の予約状況を確認する整体院スタッフのイメージ

整体院・接骨院・サロンの広告:初回オファーの採算と地図との分担

アドサプリ運営チーム
アドサプリ運営チーム
HOMEブログ / 整体院・接骨院・サロンの広告:初回オファーの採算と地図との分担
リスティング広告マーケティング戦略

整体院・接骨院・サロンの広告:初回オファーの採算と地図との分担

アドサプリ運営チーム2026.08.28
施術の合間にタブレットで当日の予約状況を確認する整体院スタッフのイメージ

初回2,980円で新規のお客さまが月に20人来ている。広告費は月8万円。この広告は、成功しているでしょうか。それとも失敗でしょうか。同じ数字を見せても、答えは分かれます。初回の売上だけを見れば1人あたり4,000円の広告費で2,980円の売上なので赤字ですし、その20人のうち何人が3カ月後も通っているかを知っていれば、まったく違う答えになります。

結論から言えば、この業態の広告はリピートを前提にした計算をしないと評価しようがありません。徒歩圏という極端に狭い商圏、初回オファーという集客の型、そして施術に関する表現の制約と、整体院や接骨院、サロンの広告にはこの3つが同時にかかってきます。

この記事の要点

  • 商圏は徒歩と自転車の圏内。地図検索とリスティング広告は拾う相手が違うので役割を分ける
  • 初回オファーは初回の売上ではなく、平均来院回数まで含めた採算で判断する
  • 施術の効果を断定する表現は、あはき法や柔道整復師法の広告規制にかかわる論点。所管窓口への確認が要る
  • 予約は電話とLINEに分かれる。どちらも計測していないと成果の大半が数字に出ない

1. 徒歩圏の商圏と、地図検索との役割分担

この業態の商圏は飲食店に近いくらい狭く、慢性的な痛みで週1回通うことを考えると、職場や自宅から徒歩10分か、自転車で10分程度が現実的な範囲です。配信地域を市全域に広げても来店に至らないクリックが増えるだけなので、半径2kmから3km程度に絞り、そこから広げるか狭めるかを検索語句の実態を見ながら決める形が扱いやすくなります。

そして狭い商圏では、Googleビジネスプロフィール(いわゆるMEO)と地図の枠が大きな存在になり、「近くの整体」「〇〇駅 接骨院」といった検索では、地図の枠が画面の上部を占め、そこに口コミの点数と距離と営業時間が並びます。ここでの見え方が整っていないと、リスティング広告でクリックを買っても、比較の段階で負けます。

両者は競合ではありません。拾う相手が違います。地図が強いのは「いま近くで探している」検索で、リスティング広告が効くのは、症状名や施術名から入ってくる検索、あるいは他院と比較している検索です。地図の整備を後回しにしたまま広告費だけを増やすと費用効率の悪い状態が続くので、順序としては、地図の情報と写真と口コミへの対応を整えたうえで広告を足すほうが素直です。

2. キーワードは症状・部位・目的から入る

この業態の検索語は、店名や業種名よりも、体の状態から入ってくるものが中心になります。

中心にあるのは症状と部位の語です。「〇〇駅 腰痛」「肩こり 整体 〇〇市」「首の痛み 〇〇」「産後 骨盤 〇〇駅」といった組み合わせ。ここは検索する側の困りごとがはっきりしているぶん来院につながりやすい層ですが、表現の制約が最も強くかかる領域でもあるので、広告文の書き方は4章の内容を踏まえてください。

業態と地域の語も外せません。「〇〇駅 整体」「〇〇市 接骨院」「〇〇 マッサージ 夜」「〇〇駅 鍼灸」は地図の枠と競合しますが、営業時間や当日予約といった条件で差が付けられます。

目的と場面の語もあります。「デスクワーク 肩こり 〇〇」「ゴルフ 腰 〇〇市」「〇〇駅 整体 女性専用」「駐車場あり 整体 〇〇」は数が少ないものの、条件が一致したときの決まりやすさが高い語です。

除外側では、「整体 学校」「整体師 求人」「セルフ 整体 やり方」「整体 資格」といった、来院につながらない語を早めに止めます。加えて、自費の施術と保険適用の施術を両方扱っている場合、「〇〇 保険 交通事故」のような語をどう扱うかは、院の方針を決めてから設定に落としてください。

3. 初回オファーはリピート前提で採算を組む

冒頭の問いに戻ります。初回オファーの採算は、初回の売上ではなく、その人が離れるまでに使う金額から逆算します。

仮の数字で置きます。初回価格3,000円、2回目以降が1回6,000円、初回を含めた平均来院回数が8回だとすると、1人あたりの売上は3,000円+6,000円×7回で45,000円です。施術は材料原価が小さいので、家賃や人件費といった固定費を差し引く前の粗利率を70%と置くと、31,500円が残ります。

この粗利のうち25%までを広告に使うと決めるなら、来店1人あたりの上限は7,875円です。予約から実際の来店までに離脱が出るので、来店率を85%とすると、予約1件あたりの許容CPA(CV1件あたりにかかった広告費)は7,875円×0.85で約6,700円になります。

検算します。予約が100件入れば来店は85人、粗利は85人×31,500円で2,677,500円、その25%は669,375円で、これを予約100件で割ると1件あたり6,694円。おおむね6,700円で合っています。

見方 1人あたりの売上 粗利(70%) 予約1件の許容CPA
初回だけで見る 3,000円 2,100円 約450円
平均4回で見る 21,000円 14,700円 約3,100円
平均8回で見る 45,000円 31,500円 約6,700円

4回の行も確かめます。3,000円+6,000円×3回で21,000円、その70%が14,700円、25%が3,675円、来店率85%を掛けて3,124円なので約3,100円です。初回だけで見た場合と8回まで見た場合で、出せる金額が15倍近く違うことになります。

ここで必要になるのが、自院の平均来院回数という数字です。予約管理の記録から、半年前に初回来院した人が今日までに何回来ているかを数えれば出ますし、感覚で「だいたい5回くらい」と言うのと実際に数えて4.2回と分かるのとでは、広告に出せる金額が変わります。粗利と広告費の関係の見方は「ROASが高いのに儲からない理由」でも扱っています。

逆に言えば、この数字を把握しないまま「CPAが3,000円だから安い」「8,000円だから高い」と判断している状態は、根拠のない運転です。広告の中身を点検する前に、まず自院の数字を持つこと。そのうえで、いまのアカウントが何を成果として数えていて、どの語にお金が流れているのかを確認する順序になります。

※ 自院の広告が何を数えていて、どこに費用が流れているか確かめたい方へ ― 読み取り専用の権限だけで確認でき、設定は触りません。実際の診断レポートのサンプル(無料)を用意しています。

4. 施術に関する表現は、法令の枠がかかる

ここは慎重に扱う必要がある領域です。以下は公表資料から読み取れる一般的な整理であり、個別の表現が適法かどうかを判断するものではありません。実際の広告文やページを出す前に、所管の保健所や都道府県の窓口、所属する業界団体、あるいは広告規制に詳しい専門家に確認してください。

まず枠組みです。はり師やきゅう師、あん摩マッサージ指圧師の施術所については「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」、いわゆるあはき法に広告に関する規定があり、柔道整復師と接骨院については柔道整復師法に同様の規定があります。これらの法律では、広告できる事項が法令で限定して定められている形になっており、医療機関の広告規制とは別系統のルールです。従来から、施術の効果や適応症を広告に書くことは、この限定の外にあると整理されてきました。

この分野は近年動きがありました。厚生労働省は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」で議論を重ね、2025年2月18日付で、これらの施術所の広告について広告し得る事項や指導のあり方を示す指針、いわゆる「あはき・柔整広告ガイドライン」の通知を発出しています。自治体の側でも周知や相談窓口の案内が始まっており、公表以降は各地の保健所が判断のよりどころとして参照する状況になっています。

広告文を書く側として押さえたいのは、施術の効果を言い切る表現が論点になりやすいという点で、「腰痛が治ります」「〇〇症に効果があります」といった断定は、この枠組みの中では扱いが難しい表現に入ります。「日本一の技術」「地域で一番」といった最上級の言い回しも、比較して優れていると思わせる表現として問題になり得ます。「〇〇さんの腰痛が3回で改善しました」といった利用者の声も、効果に関する表示として扱われる可能性があります。

もうひとつ整理しておきたいのが、業態による違いです。整体やカイロプラクティック、リラクゼーションサロンのように国家資格を前提としない業態は、あはき法や柔道整復師法の直接の適用対象ではないと整理されるのが一般的です。ただし、施術の内容や「マッサージ」などの名称の使い方によっては、無資格の業態であってもあはき法の問題になり得ます。効果に根拠のない表示は景品表示法の優良誤認に関わりますし、機器や化粧品を使うなら薬機法の論点も出てきます。名称の使い分けについても、資格を持たない業態が資格者の業務と誤認させる表示を行えば別の問題になるため、どちらの業態であっても自己判断で線を引かず、所管の窓口や専門家に確認したうえで表現を決めてください。

初回オファーの表示そのものにも注意点があります。「初回2,980円」と大きく出すなら、2回目以降の価格、適用の条件、回数券の勧誘の有無といった前提が同じ画面で分かる状態にしておかないと、有利誤認の論点になり得ます。

5. 電話予約とLINE予約をどう数えるか

この業態の予約は電話とLINEに大きく寄るので、ウェブの予約フォームだけを成果として計測していると、実際の来店の半分も数えていない状態になりがちです。

電話の受け方も独特です。予約アプリの通知やLINEの返信の合間に着信が鳴り、施術中はそもそも取れず、取り逃した着信が翌日に折り返されて予約になることもあるので、着信数だけを見ていると広告の貢献を実際より小さく見積もります。計測の一般的な手順は「歯科医院のリスティング広告:狭い商圏と単価差をどう設計するか」に譲ります。

LINEはもう少し工夫が要ります。友だち追加のボタンを押した時点をコンバージョン(CV、問い合わせや予約などの成果地点のこと)として登録すれば、押した回数は数えられます。ただし追加した人が実際に予約まで進んだかは、LINE側の管理画面と突き合わせないと分かりません。友だち追加のURLにパラメータを付けて流入元を判別する方法もありますが、設定の手間と得られる精度は事前に見比べたほうがよいところです。

簡易な代案として、来店時に「何を見て来たか」を1問だけ聞き、月ごとに集計する方法もあり、精度は粗いものの、広告経由の割合が半分なのか1割なのかが分かるだけで予算の判断は大きく変わります。数字の突き合わせ先が院の中にあるという点で、この業態は恵まれているほうです。

6. 整体院の広告運用でつまずきやすい点:営業時間外配信とLPのずれ

最後に、現場でよく起きる詰まりを挙げます。

1つ目が、営業時間外の配信です。電話予約が主なのに閉院後も同じ強さで配信していると、つながらない電話に費用が出ていくので、夜間はLINEやフォームへ誘導する広告文に切り替えるという手もあります。

2つ目が、初回オファーの文言だけで広告文が埋まっている状態。価格だけで比べられると、より安い院に流れます。駐車場、当日予約、女性スタッフ、着替えの用意といった条件のほうが、決め手になっている場合があります。

3つ目が、LPと広告文のずれです。「産後の骨盤」で検索した人が院のトップページに着地し、その内容がどこにも見当たらない。着地先の点検の仕方は「広告のCVRが低いのはLPが原因か」に整理しています。

少ないCV数で自動入札を回そうとするのも、よくある詰まりです。月の予約が10件に満たない規模では、機械が判断する材料が足りません。手動のほうが素直です。

院を回しながらこれらを全部見るのは簡単ではなく、施術の合間に管理画面を開ける時間は限られますし、表現の判断には別の知識も要ります。自院の平均来院回数を数えるところまでは中の仕事ですが、広告の設定が採算の前提と合っているかどうかは、外の実務者に一度見てもらうと早く片が付きます。設定を触らずに現状だけ確認してもらう形なら、いまの配信に影響は出ません。

※ 平均来院回数から出した許容CPAと、いまの設定が合っているか ― 診断レポートのサンプル(無料)で確認できる範囲をご覧ください。

よくある質問

Q. Googleビジネスプロフィールの対策だけでは足りませんか?

A. 足りている院もあります。徒歩圏で探している人の多くは地図から選ぶので、口コミと写真と営業時間が整っていれば、それだけで新規が埋まる立地はあります。広告を足す価値が出るのは、地図では拾えない検索を取りたいときです。症状名から探している人、他院と比較している人、少し離れた駅から通う選択肢を探している人。逆に地図の情報が整っていない状態で広告費だけ増やすのは、順序として損をします。

Q. 「〇〇に効く」と書けないなら、広告文で何を伝えればよいですか?

A. 効果の断定を避けても、伝えられる事実は残ります。営業時間、当日予約の可否、駐車場の有無、施術者の資格や経験年数、施術時間、初回の流れ、女性スタッフの在籍。検索する側が実際に迷っているのは、効くかどうか以前に「行けるかどうか」であることも多いものです。どこまでの表現が可能かは業態と法令の適用関係によって変わるため、文言を固める前に所管の窓口や専門家に相談する段取りを組んでおくと安心です。

この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム(運営:ライムクロス株式会社)。現役の広告運用者が、月次の広告アカウント診断「アドサプリ」を提供しています。

無料サンプル

実際のカルテ(サンプル)をその場でダウンロード

ご入力後、その場でサンプル(PDF・一部抜粋)をダウンロードできます。まず中身を見たい方向けです。

この投稿を共有