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広告レポートのCSVを開き、AIが出した要約と数字を突き合わせて確認している担当者のイメージ

広告レポートをAIに要約させる方法:CSVの渡し方から社内報告までの手順

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広告レポートをAIに要約させる方法:CSVの渡し方から社内報告までの手順

アドサプリ運営チーム2026.08.27
広告レポートのCSVを開き、AIが出した要約と数字を突き合わせて確認している担当者のイメージ

月初の2日間で先月の広告レポートを読み、社内に説明する。この作業に毎月2時間から3時間かけている担当者は珍しくありません。しかも、その大半は数字を眺めて要点を探す時間で、判断そのものに使えているのは最後の20分くらい、という配分になりがちです。

ここは生成AIとの相性がかなり良い領域です。行数の多い表から傾向を拾い、文章に直す作業は、AIがいちばん安定して働く仕事だからです。ただし、拾った傾向に理由を付けさせた瞬間から、話は別になります。AIは原因を知りません。知らないまま、もっともらしい原因を書きます。要約は任せ、原因の判定は手元に残す。この分担が手順の前提になります。

この記事の要点

  • AIに任せるのは要約と差分の抽出まで。原因の断定と次の打ち手の決定は手元に残す
  • 渡す指示には、前提・期間・KPI・比較軸の4点を必ず含める。ここが抜けると一般論しか返ってこない
  • AIの考察でよく壊れるのは、相関を因果と書く、母数の少ない差を断定する、季節要因を見落とす、の3つ
  • 顧客名・メールアドレス・未公開の原価や単価はアップロードしない。数値の粒度を落としてから渡す

1. AIに読ませる前に、目的を1行で決める

「先月のレポートを要約して」だけを投げると、返ってくるのは数字を言い換えただけの文章です。クリック数が何件で、費用がいくらで、前月比が何パーセント。これはレポートの読み上げです。読む手間は減りません。

先に、そのレポートを何のために読むのかを1行にします。実務では次の3つのどれかであることが多いです。①社内や上司に今月の状況を説明する、②来月の予算配分と改善の優先順位を決める、③何かおかしいことが起きていないかを探す。同じCSVでも、この3つで見るべき列も切り口も変わります。目的を書かずに渡すと、AIは平均的な要約という無難な着地を選びます。

なお、この記事は自分の手元でCSVを読ませる話です。管理画面の中のAIが提案を出す機能をどこまで信用するかは「Ads Advisorに任せてよい範囲」、レポート作成の定型作業を自動化ツールに寄せる判断は「自動化ツールと人の分担」で扱っています。ここでは、月初に自分でファイルを開く前提の手順だけを書きます。

2. CSVをどう出して、どう渡すか

Google広告なら、管理画面のキャンペーンや広告グループの表を開き、期間を指定して表のダウンロード機能からCSVを保存します。GA4であれば、レポートや探索の画面からCSVで書き出せます。手順の細部は画面の更新で変わることがあるため、ダウンロードのアイコンの位置は都度確認してください。

ここで大事なのは1つです。出す範囲を欲張らない。全キャンペーン全日付の生データを丸ごと渡すと、AIは行数に押されて要点を外します。実務で扱いやすいのは、次の3枚に分けたときです。

1枚目はキャンペーン単位の月次サマリーで、対象月と前月、可能なら前年同月の3行分。2枚目は広告グループ単位で、当月のみ。3枚目は検索語句や広告アセットなど、掘り下げたい1軸だけ。列は、費用、表示回数、クリック数、CTR(クリック率。表示回数のうちクリックされた割合のこと)、CPC(クリック1回あたりの費用)、コンバージョン(CV、問い合わせや購入などの成果地点のこと)数、CPA(CV1件あたりにかかった広告費)、CVR(クリックしたうちCVに至った割合)があれば足ります。列が30も並んだままだと、AIも人も焦点が定まりません。

ファイル形式はCSVのままで問題ありません。表計算ソフトで開いて余計な列を削り、行数が多い場合は上位30行程度に絞ってから保存し直すと、読み取りが安定します。1回のやり取りに渡すファイルは1枚か2枚まで。3枚以上をまとめて渡すと、どの表の数字を指しているのか出力側で混ざり始めます。

3. 指示に入れる4点セット

渡す情報 書き方の例 抜けると起きること
前提 法人向けの会計ソフト。商談から受注まで平均2カ月 EC向けの一般論で語られ、当月のCVだけで評価される
期間 7月1日から31日。比較は6月と前年7月 営業日数の違いを無視した増減の説明になる
KPI 最重要はCPA。目標は18,000円以内。CV数は月25件が下限 CTRの改善など、事業に関係ない指標を褒められる
比較軸 キャンペーン間の差と、前月からの変化の2軸で 全体の合計だけを見て、内側の偏りが消える

いちばん効くのはKPIです。目標値の数字を書くだけで、出力の焦点が「増えた減った」から「目標に対してどうか」に変わります。

もう1つ、指示に加えておくと効くのが禁止事項です。「原因を断定しないこと」「データにない事実を補わないこと」「推測を書く場合は根拠の数値を添えること」の3行を毎回入れておくと、出力の性格がかなり変わります。断定を許すと、AIは空白を埋めようとして、渡していない情報を前提にした説明を書き始めます。この3行は、その入り口を塞ぐための保険です。

4. 広告レポートの要約にそのまま使えるプロンプト例3つ

プロンプト1:月次の要約と差分の抽出

添付は、法人向け会計ソフトのGoogle広告のキャンペーン別の実績です。以下の条件で読み取り、要約してください。

・前提 法人向けの会計ソフト。問い合わせから受注まで平均2カ月かかる。目標CPAは18,000円以内、月間CV数は25件が下限。

・期間 2026年7月と、比較対象として6月。

・出力の順番 ⑴目標に対する達成状況を3行、⑵前月から変化が大きかったキャンペーン上位3件と、その変化を数字で、⑶数字の上で気になる点を箇条書きで5つまで。

・禁止 原因の断定。理由を書く場合は「可能性がある」の形にし、そう考えた根拠の数字を必ず添えること。データにない事実を補わないこと。

プロンプト2:おかしい数字を先に見つけさせる

同じデータについて、異常や不自然さを探す観点だけで見てください。良い点の指摘は不要です。

・見る観点 ⑴前月比で費用が3割以上増減した行、⑵CVが0件のまま費用が発生している行、⑶CVRが全体平均の半分未満または2倍以上の行、⑷月の途中で数字が急に途切れている行。

・出力 該当行と、該当した観点、そのときの実数値を表にしてください。該当がない観点は「該当なし」と書いてください。

プロンプト3:社内報告用に整える

先ほどの要約を、広告の専門用語が分からない経営者に向けた社内報告の文面に書き直してください。

・読み手 当社の代表。広告の指標名は知らないが、数字には厳しい。

・分量 400文字以内。冒頭の1行で結論を述べること。

・言い換え CPAは「問い合わせ1件あたりの広告費」、CVRは「クリックした人のうち問い合わせに至った割合」と書くこと。

・末尾 私が判断すべきことを、選択肢の形で2つだけ挙げてください。

3つ目は出番が多いはずです。報告の文面づくりは、内容の判断ではなく言い換えの作業にすぎないので、ここはAIに任せてもリスクが小さく、月初にいちばん時間を食っていた工程がまるごと軽くなります。ただし数字だけは、社内資料に貼り付ける前に元のCSVと1つずつ突き合わせてください。要約の途中で桁がひとつ落ちる誤りは、文体が整っているぶん読み返しでも見つかりません。

5. AIの考察を鵜呑みにしないための3つの見方

相関を因果として書いてくる

いちばん多い誤りです。「入札戦略を変更した週からCPAが改善しており、変更が奏功したと考えられます」。もっともらしい一文ですが、AIが見ているのは同じ時期に2つの数字が動いたという事実だけです。同じ週に競合が出稿を止めていたのかもしれませんし、季節の山に入っただけかもしれません。AIは変更履歴も社外の状況も知りません。理由らしき文が出てきたら、その根拠がデータの中にあるかを確認する癖をつけてください。

母数が少ない差を断定する

CVが月に20件程度のアカウントでは、キャンペーンAのCVRが3.2%、Bが2.1%という差は、たいてい偶然の範囲です。CV件数がAで7件、Bで4件なら、翌月には逆転していても不思議ではありません。AIは小数点以下まできれいに比較してしまうので、比率の差を見せられたら「その分子は何件か」を必ず確認してください。分子が10件を切っているなら、傾向として扱うのは早すぎます。

季節と外部要因を織り込まない

お盆、年末年始、決算期、業界の展示会。数字の動きの相当な部分は、こうしたカレンダー要因で説明がつきます。AIに渡すデータには曜日も祝日も業界の事情も入っていないので、前年同月のデータを一緒に渡さない限り、季節性は考慮されません。前年同月を渡せない立ち上げ期のアカウントなら、季節要因は自分で補足するしかありません。

この3つに共通するのは、AIが「データの外側」を知らないという一点です。変更履歴、競合の動き、営業側の事情、社内の在庫。これらを持っているのは担当者本人で、そこを埋められるかどうかで、要約が判断材料になるか、それらしい作文で終わるかが分かれます。

※ 要約は出せても、その解釈が妥当かどうかを確かめる相手が社内にいない方へ ― 月次の広告アカウント診断「アドサプリ」は、読み取り専用(閲覧のみ)の権限でアカウントの実態と数字の整合を確認します。設定は触らないので配信に影響はなく、今の運用体制を替える必要もありません。実際の診断レポートのサンプル(無料)を用意しています。

6. 入れてはいけない情報と、月次の型にする方法

生成AIにアップロードしてはいけないものを、先に決めておいてください。基本は3種類です。1つ目は個人情報で、問い合わせフォームの回答一覧、氏名、メールアドレス、電話番号を含むファイルは渡しません。2つ目は取引先や顧客企業の名前です。3つ目は未公開の原価、仕入れ単価、契約条件など、外に出た時点で商売に影響が出る数字です。

広告のレポート自体には個人情報が含まれないことが多いのですが、検索語句レポートには人名や電話番号が混ざることがあります。渡す前に、その列を目視で一度流してください。加えて、入力した内容が学習に使われるかどうかはサービスと契約形態で違うので、確かめ方は「ChatGPTで広告文を作る手順:プロンプト例3つと、そのまま入稿してはいけない理由」に書いた手順で一度確認しておいてください。社内の規程があるなら、そちらが優先です。

最後に、この作業を毎月の型にする方法です。プロンプトは毎回書き直さず、前提とKPIの数字だけを差し替えるテンプレートとして保存しておきます。CSVの出し方も、キャンペーン単位・広告グループ単位・掘り下げ用の3枚と決めてしまう。ここまで固定すると、月初の作業は30分ほどに収まります。空いた時間は、AIが出した「気になる点」を管理画面で自分の目で確かめることに使ってください。レポートの妥当性を人がチェックする観点は「月次レポートの妥当性チェック」に整理してあります。

ここまでを型にしても、AIが出してくるのは結論ではなく仮説です。仮説である以上、それが的を射ているかを確かめる相手が要ります。代理店に聞けば済むこともありますが、代理店の運用そのものについての疑問は、当事者に確かめても答えが一方向になりがちです。社内に相談相手がいない会社では、この最後の一歩だけが道具では埋まりません。

※ AIの要約と自分の見立てが食い違ったときの答え合わせに ― 「アドサプリ」の診断レポートのサンプル(無料)で、現役の運用者が同じアカウントをどう読むかをご確認いただけます。

よくある質問

Q. CSVではなく、レポートのPDFやスクリーンショットを渡してもよいですか。

A. 読ませること自体はできますが、数値の読み取り精度はCSVに比べて落ちます。特に桁区切りのある金額や、細かい表の行がずれることがあります。代理店からPDFしか受け取れない場合は、要約させたうえで、金額とCV数の主要な数字だけは元のPDFと突き合わせてください。数字の突き合わせを毎月やるのが負担なら、代理店にCSVでの提供を依頼するのが早道です。断られる理由は、通常ありません。

Q. 数字の解釈まで含めて、AIに月次レポートを丸ごと書かせてもよいでしょうか。

A. 社外に提出するレポートであれば、書かせた文章をそのまま出すのは避けたいところです。AIは断定的な言い方を好むため、根拠の弱い理由づけが混ざりやすく、後で説明を求められたときに自分の言葉で答えられなくなります。骨組みと文章の整えはAI、原因の記述と来月の打ち手は自分の手で書く、と分担を決めておくと、月次の報告が社内の議論として機能します。

この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム(運営:ライムクロス株式会社)。現役の広告運用者が、月次の広告アカウント診断「アドサプリ」を提供しています。

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