広告アカウント診断の費用相場:スポット・顧問・月額型の違いと費用対効果
スポットのアカウント診断でおおむね5万〜20万円。月額のコンサル顧問なら10万〜30万円。広告運用の外部チェックにかかる費用を調べ始めると、この程度の幅を持った数字が並びます。幅が広すぎて、自社の場合はいくらが妥当なのか、そもそもその金額を払う価値があるのか、判断の足場が持てない。外部チェックを検討し始めた経営者や兼任担当者が最初につまずくのは、たいていこの「相場感のなさ」です。
外部チェックの費用は、サービスの形態でほぼ決まります。だから相場を知るには、金額の一覧よりも先に形態の整理が要ります。そして金額の妥当性は、相場との比較ではなく「診断で見つかるものの金額」との比較で判断するのが実務的です。順に説明します。なお、この記事の相場観は複数の比較サイトや事業者の公開情報をもとにしたレンジであり、個別のサービスがこの幅に収まることを断定するものではありません。
この記事の要点
- 外部チェックは①スポット診断、②コンサル顧問、③月額診断サービスの3形態。公開情報ベースの目安は①5万〜20万円程度、②月10万〜30万円程度
- 「無料診断」の多くは代理店の営業活動として提供される。悪ではないが、乗り換え提案が前提になりやすい構造は知って使う
- 費用対効果は「診断費用」対「見つかる無駄の年額」で考える。月100万円の広告費で無駄が1割なら年間120万円の規模になる
- どの形態でも、チェック自体は読み取り専用(閲覧のみ)の権限で完結する。代理店の変更を伴う話ではない
1. 外部チェックの3形態と費用の目安
ひと口に「広告運用の外部チェック」と言っても、中身は3つに分かれます。単発のスポット診断、月次のコンサル顧問、定額の月額診断サービス。運用代行まで含めた形態そのものの違い(誰が手を動かすのか、失敗したとき誰の責任か)は「広告コンサル・運用代行・診断サービスの違い:責任範囲と費用構造で選び分ける」に整理したので、この記事は費用だけを扱います。公開されている価格情報を見る限り、目安は次のとおりです。
| 形態 | 費用の目安(公開情報ベース) | 中身と向く場面 |
|---|---|---|
| スポット診断(単発) | 1回5万〜20万円程度 | アカウント全体を一度精査しレポート化。乗り換え検討時や年1回の棚卸しに |
| コンサル顧問(月額) | 月10万〜30万円程度 | 定例同席・戦略助言・社内教育まで。インハウス運用の伴走に |
| 月額診断サービス(定額) | 顧問より軽い価格帯の設定が多い(公開相場はまだ少ない) | 毎月の定点チェックとレポート。代理店に任せたまま点検だけ外部化したい場合に |
紛らわしいのが、運用代行の手数料(広告費の20%前後が通例)との混同です。あちらは手を動かして運用する対価、こちらは運用を外から点検して助言する対価で、別物です。代行費用の内訳は「手数料20%の中身」に整理しています。
レンジの中でどこに落ちるかは、主に3つで決まります。①見る範囲(媒体1つか、Google広告とMeta広告の複数か、計測設定まで含むか)、②アカウントの規模(キャンペーン数と月予算)、③成果物の重さ(口頭フィードバックか、改善提案つきの報告書か)。同じ「診断」の名前でも、検索広告を1時間眺めるものと、計測タグまで潜って40項目を検証するものでは工数が数倍違います。見積りを取るときは金額より先に、この3点の仕様を揃えて比べてください。
付帯費用にも目を配ります。比較サイトの公開情報では、運用代行の初期設定費用は3万〜10万円程度、レポート作成費は月1万〜5万円程度とされる例があり、診断系のサービスでも初回ヒアリングやアカウント接続の作業が別料金になっている場合があります。表示された本体価格だけでなく、初月にかかる総額と2カ月目以降の月額を分けて確認すると、思わぬ請求を避けられます。
2. 「無料診断」「格安診断」に潜む構造
調べていると、無料のアカウント診断が数多く見つかります。実際、代理店各社が無料診断を入り口メニューとして公開しています。ここで理解しておきたいのは、無料診断の多くが代理店の新規顧客獲得、つまり営業活動の一環として設計されていることです。診断の人件費は、その後の運用受注で回収する前提になっています。
これは騙しではありません。乗り換えを検討している段階なら、候補先の無料診断は提案力を測る良い機会になります。ただし構造上、結論が「弊社ならこう改善できます」に向かいやすいことは織り込んでおくべきです。現体制に大きな不満がないのに無料診断を受けると、営業のフォローに時間を取られたうえ、診断内容も乗り換え訴求に寄っている、という間の悪い結果になりがちです。
もう1点。診断の名を借りた営業電話には別の警戒が要ります。「アカウントに重大な問題があります」と不安をあおって接触してくる型は、「正規代理店を名乗る営業電話」の記事で扱った手口と地続きです。無料か有料かより、診断の提供者が何で収益を得ているかを見るのが、品質を推し量る一番の近道です。営業目的でない外部チェックは、読み取り専用(閲覧のみ)の権限を渡すだけで完結し、今の代理店を替える前提を持ちません。逆に、診断の条件として運用の移管や編集権限を求められたら、それは診断ではなく営業だと判断してよいと思います。
無料診断で分かる範囲と分からない範囲、受ける前に決めておくべきことは「無料の広告アカウント診断で分かること・分からないこと:受ける前の予備知識」で扱っているので、ここでは費用の観点だけを続けます。それでも無料診断を使うなら、自衛は3つです。①「乗り換え検討中か、現体制の点検か」の目的を最初に伝える、②権限は閲覧のみに限定し、編集権限は渡さない、③指摘内容は口頭でなく書面かデータでもらう。とくに③は効きます。書面に残る指摘は根拠を伴う必要があるため、営業トーク混じりの不安あおりが自然と減るからです。
3. 費用対効果の考え方:診断費と「見つかる無駄の年額」を比べる
では、有料の診断に5万円なり15万円なりを払う価値はあるのか。ここは相場ではなく、自社の広告費から逆算するのが答えになります。比べる相手は「診断で見つかる無駄の年額」です。
診断で最も頻繁に見つかる無駄は、関連の薄い検索語句への出稿、いわゆる無駄クリックです。除外キーワードの手入れが数カ月止まっているアカウントでは、広告費の1割前後がこの種のクリックに流れている例が珍しくありません。月の広告費が100万円なら月10万円、年間で120万円の規模です。小さくない額です。仮にスポット診断に10万円払ってこの1割を見つけたとすると、指摘を反映した初月でほぼ回収できる計算になります。無駄の発見が5%にとどまっても月5万円、年間60万円ですから、診断費10万円の回収は2カ月です。
削減の話だけで閉じない点にも触れておきます。診断が見つけるのは無駄だけではなく、伸ばせる余地も含まれます。予算不足で表示機会を逃している割合(インプレッションシェアの損失)や、成果が出ているのに予算が薄いキャンペーンの発見は、削る話ではなく増やす話です。費用対効果を「削減額」だけで測ると縮小方向の判断に偏るので、増収側の発見も価値に数えるのが公平だと思います。
予算規模が小さいと、この算式は逆に働きます。月の広告費30万円で無駄が5%なら月1万5,000円、年間18万円。10万円の診断費を回収するのに7カ月近くかかり、割に合うかは微妙になってきます。この規模なら、範囲を検索広告だけに絞った安価な診断や、月額の軽い定点チェックのほうが釣り合いやすい。つまり「診断費用の妥当ライン」は相場表ではなく、おおよそ自社の月間広告費と無駄の想定率の掛け算から出てきます。
参考までに、診断で実際に見つかる「無駄」の代表例を挙げておきます。除外キーワードの手入れが止まり関連の薄い検索語句に出続けている、成果の出ていない配信面やキーワードが数カ月放置されている、コンバージョン(CV、問い合わせや購入などの成果地点のこと)の二重計上でCPA(CV1件あたりにかかった広告費)が実態より良く見えている、リンク先のLP(広告のリンク先ページ)が古いキャンペーンのまま、といったものです。最後の2つは「削減額」には表れませんが、誤った数字で意思決定を続けるコストを止めるという意味で、金額換算しにくい価値があります。
ここまでの数字には1つ前提があります。無駄が「見つかるかどうか」は事前に分からないことです。だからこそ、診断がどんな項目をどの深さで見るのか、レポートの実物を先に確認する意味があります。
※ 費用を払う前に、診断で何がどこまで分かるのかを見ておきたい方へ ― 実際の診断レポートのサンプル(無料)を公開しています。項目と深さの判断材料にしてください。
4. 発注前に確認する4つと、工数からの逆算
どの形態を選ぶかの判断軸は先の比較記事に譲るとして、費用の観点だけ足しておきます。月額型を検討するなら、確かめるのは「毎月いくら払って、何が届くのか」です。定点で見る項目数、変化があったときの通知、質問への回答枠。この3つを単月の見本で確認してから決めると、金額の割に薄い、という期待外れを防げます。
発注前の確認は4つに絞れます。①見る範囲と項目数はどこまでか、②成果物は何か(報告書の見本を見せてもらえるか)、③必要な権限は閲覧のみで足りるか、④診断後に運用受注の営業があるか。①はGoogle広告だけか、Meta広告や計測タグまで含むかで工数が倍以上変わる部分です。②は口約束でなく実物のサンプルで確かめるのが確実で、見本を出せない事業者はこの時点で候補から外してよいと思います。③と④は、その診断が点検なのか営業なのかを見分けるリトマス紙になります。
金額の妥当性を測るもう1つの視点は、工数からの逆算です。アカウント全体を精査してレポートにまとめる作業は、経験のある実務者でも8〜16時間程度はかかります。仮に実務者の時間単価を5,000円と置けば、16時間で8万円。スポット診断の下限が5万円前後になるのは、この工数構造からも説明がつきます。逆に「30分で診断します」を有料で売る場合、見られるのは表層だけと考えるのが自然です。
外部チェックの費用は、広告費に比べれば小さな金額です。それでも払う以上は、無駄の発見額という物差しで回収を測れる支出にしておく。自社の月間広告費に5%と10%を掛けた2つの数字なら、電卓ひとつで出ます。出ないのは、その5%や10%が本当に自社のアカウントに埋まっているのかという肝心の部分です。無駄がどこにいくら眠っているかは、検索語句と計測の中身を実際に開いた人にしか言えません。だから診断費が高かったのか安かったのかは、払う前の相場表では決まらない。決まるのは、レポートを開いて、そこに並んだ指摘の金額が支払った額を上回っているかを数えた瞬間です。相場の議論を続けるより、自分のアカウントに何がいくら埋まっているかを一度数えてもらうほうが、話は早い。
※ 月額型の定点チェックがどんなものか知りたい方へ ― 読み取り専用の権限だけで毎月の状態を確認する診断の、実際の診断レポートのサンプル(無料)をご覧いただけます。
よくある質問
Q. 診断の見積りが3社で5万円、12万円、25万円とばらばらでした。高いものほど良いのでしょうか?
A. 金額差はほとんどの場合、品質差ではなく仕様差です。見る媒体の数、計測設定まで潜るか、報告書の粒度、の3点を各社に確認して仕様を揃えると、比較できる状態になります。仕様を揃えても倍以上の差が残るなら、工数の見積り根拠を聞いてみると判断がつきやすいです。
Q. 診断を受けるとき、代理店に伝える必要はありますか?
A. 契約上の守秘条項に反しない限り、法的な義務は通常ありません。実務上は「経営判断として外部の点検を入れる」と一言伝えておくほうが、後の関係はスムーズです。閲覧のみの権限で完結し運用に干渉しないこと、乗り換えの準備ではないことを添えれば、まともな代理店が態度を硬化させることはまずありません。
Q. スポット診断は年1回で足りますか?
A. アカウントの変化の速さによります。月の広告費が数十万円で構成も安定しているなら年1回の棚卸しで回りますが、月100万円を超える規模や、媒体の仕様変更・キャンペーン改編が頻繁なアカウントでは、1年の間に状態が大きく動きます。その場合は四半期ごとのスポットか月額の定点チェックのほうが、問題を小さいうちに拾えます。
Q. 月額型の診断サービスは、実際いくらぐらいですか?
A. 本記事を運営するアドサプリの場合、月額プランが月額66,000円(税込)、年額プランが年1回一括660,000円(税込・月額換算55,000円)です。いずれも1サイト(1事業)あたりで、Google広告・Meta広告・GA4・Search Consoleを対象に毎月カルテを納品します。月額型は事業者によって対象媒体も納品頻度も幅があるため、比較するときは「対象媒体」「納品頻度」「レポートの粒度」を揃えて見てください。
この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム(運営:ライムクロス株式会社)。現役の広告運用者が、月次の広告アカウント診断「アドサプリ」を提供しています。
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