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広告アカウントへのログイン画面を前に、自社のアカウント権限がないことに気づいた担当者のイメージ

広告アカウントの名義と権限は自社が持つべき理由:代理店名義のリスク

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代理店広告運用

広告アカウントの名義と権限は自社が持つべき理由:代理店名義のリスク

アドサプリ運営チーム2026.08.25
広告アカウントへのログイン画面を前に、自社のアカウント権限がないことに気づいた担当者のイメージ

「御社の広告アカウントに、御社の誰かはログインできますか」。診断の入り口でこう尋ねると即答できない方がかなりいて、調べてもらうとアカウントは代理店の名義で開設されていて、自社には誰もログイン権限がありません。広告運用を外部に任せている会社では、珍しくない状態です。

配信が順調なうちは、この状態で困ることはほぼありません。困るのは、代理店を替えたくなったとき、成果に疑問を持って中身を確かめたくなったとき、つまり「これまでどおりでよいのか」を考え始めた、まさにそのときです。「解約の相談をしたら、アカウントは弊社のものですと言われまして」。この一言から始まる相談を、これまで何度も受けてきました。名義と管理者権限は自社が持ち、代理店には運用に必要な権限を付与する。順番の話でしかありません。ただ、間違えると後から取り返しがつきにくくなります。

この記事の要点

  • 広告アカウントのデータは本来、広告費を払っている広告主の資産。名義と管理者権限は自社が持つのが原則
  • 代理店名義のリスクは、解約時にアカウントごと失う、運用実績や学習データを引き継げない、外部の目を入れる自由がなくなること
  • 確認すべきは「名義は誰か」「自社に管理者権限があるか」の2点。分からなければ代理店に聞いてよい
  • 依頼は「情報管理の社内方針」を理由にすると角が立たない。新規契約なら開設前に名義を決めておく

1. なぜアカウントが代理店名義になるのか

まず、なぜこの状態が生まれるのかを押さえておきます。広告を始める際、「アカウントの開設もこちらでやっておきますね」と代理店が引き受けてくれるのは、ごく普通の親切です。不慣れな時期の発注側も助かります。悪意はありません。それでも、開設した人の管理下にアカウントが置かれた結果として、代理店名義・代理店管理のアカウントが自然にできあがります。

もう一つ、請求の事情もあります。月の広告費が50万〜300万円くらいの規模では、代理店が媒体にまとめて支払い、発注側には広告費と手数料を合わせた1本の請求書を出す形が一般的です。経理処理が1件で済むぶん発注側にも楽なのですが、支払い者と名義をそろえたほうが事務が単純になるため代理店の管理アカウント配下にそのまま開設されがちで、名義の偏りは悪意ではなく請求の都合から生まれていることが多いのです。

そして最も多いのが、社内の担当者の交代です。開設当時は自社の誰かがログインできていました。その人の退職や異動でIDの所在が分からなくなり、いまは実質的に代理店しか入れない。名義は自社でも、権限の実態は失われています。担当者1人に情報が集中する状態そのもののリスクは「広告運用の属人化リスク」でも触れましたが、広告アカウントは、その属人化が最も起こりやすい持ち物の一つです。

つまり、代理店名義であること自体は不正の証拠ではありません。ただ、悪意の有無とは別の問題として、この状態は構造的に広告主側の選択肢を狭めます。家を建てた工務店が登記も鍵も持っていて、住人は都度開けてもらう。良し悪しの問題ではありません。形そのものに無理があります。

2. 代理店名義のままにしておく4つのリスク

リスク1:解約するとアカウントごと消える恐れがある

代理店名義のアカウントは契約が終われば停止・削除されても広告主側に止める手立てがなく、契約書に定めがなければ返還を求める根拠も弱くなります。解約を切り出した後では、権限の話が交渉ごとになります。動くなら、何も起きていない今のうちです。

リスク2:運用実績と学習データを引き継げない

近年の広告は過去の成果データをもとにシステムが入札を調整する仕組みが主流なので、アカウントを作り直せば学習は初期状態からやり直しになり、次の運用者も「過去に何を試して何がだめだったか」を知らないまま再スタートします。数年分の広告費で積み上げた資産を、置いてくる形です。

リスク3:比較検討や診断を受ける自由がなくなる

自社に権限がないと、別の代理店に相見積もりのためアカウントを見せる、外部の実務者に状態を診断してもらう、といった動きがすべて「今の代理店にお願いして権限を出してもらう」ことなしにはできません。現体制を評価し直したいときほど、頼みにくい相手に頼まざるを得ない構造です。いつでも比較できる状態を保つことは、代理店を疑うことではなく、良い緊張関係を保つ土台です。

リスク4:そもそも広告主の資産を自分で見られない

そもそも広告アカウントのデータは、広告費を投じた広告主の資産であり、閲覧権限は広告主自身が発行できるのが本来の形です。自社の売上データや顧客リストを閲覧もできない場所に置く会社はないはずで、広告のデータだけそれが許容されてきたのは、単に「そういうものだ」と思われてきたからにすぎません。丸投げ体制が長い会社ほどこの状態に陥りやすいことは、「広告運用の丸投げは危険?」でも指摘したとおりです。

※ 4つのリスクのどれかが当てはまった方へ ― 月次の広告アカウント診断「アドサプリ」は、読み取り専用の権限をお預かりして中身だけを確認します。運用は今の代理店のまま、設定にも触れません。実際の診断レポートのサンプル(無料)をご覧ください。

3. 自社の状態を確認する方法

確認すべきことは2点です。「アカウントの名義(誰の管理下にあるか)」と「自社に管理者権限があるか」。

Google広告の場合、アクセス権には「管理者」「標準」「読み取り専用」「お支払いとご請求」「メール専用」の5段階があり、自社の誰かがログインできるなら、管理画面の「管理者」メニューから「アクセスとセキュリティ」を開けば、誰がどの権限で入れるかの一覧が見られます。自社のアドレスが「管理者」なら、ひとまず健全です。「読み取り専用」しかない場合は、閲覧はできても権限の管理はできません。

そもそもログインできる人が社内に誰もいない場合は、代理店に率直に聞いてください。「アカウントの名義はどちらになっていますか。弊社側に管理者権限はありますか」。答えること自体は数分で済む作業なので、回答を渋る、はぐらかすといった反応があれば、それも状態を知る材料になります。

あわせて知っておきたいのが、Google広告には操作の記録が残る「変更履歴」というページがあることです。権限を持っていれば、これまでどんな運用がされてきたかを後からたどれます。ただし、遡れるのは過去2年分までです。それ以前の経緯は確認できません。裏を返せば、権限の確保が遅れるほど、たどれる過去は減っていきます。

他の媒体でも「誰の管理下にあるか」「自社がどの権限を持つか」という考え方は共通です。画面の名称や階層は違っても、確認すべき2点は変わりません。

4. 権限の返還・付与を角を立てずに依頼する

確認の結果、名義が代理店側にある、または自社に管理者権限がないと分かったら、次は依頼です。権限の返還・付与は正当な依頼です。まともな代理店なら断る理由はありません。それでも言い方に気を使いたい方のために、実務で使える言い回しを挙げます。

ポイントは、「不信の表明」ではなく「社内ルールへの対応」として伝えることです。たとえば次のような形です。「社内の情報管理の方針で外部に委託しているアカウント類は自社で管理者権限を持つよう整理することになったため、広告アカウントについても弊社のメールアドレスを管理者権限で追加していただけますか」。あるいは「稟議や決算対応の関係で、広告データを社内からも確認できる体制が必要になりました」でも構いません。取引先アカウントの権限整理は、多くの会社が普通に行っている業務です。方針として決めてしまえば、それが事実になります。

依頼の内容も、段階を分けると通りやすくなります。一度に全部を求める必要はありません。いきなり名義の移転まで求めると大ごとに聞こえるため、第一段階は「自社メールアドレスの管理者権限での追加」だけをお願いする。これは代理店側の作業としても数分で済みますし、名義そのものの整理や移管は権限を確保して中の状態を確認してから落ち着いて進めれば十分です。

依頼はメール1通で足ります。文面は、①依頼の理由(社内方針・棚卸し)、②依頼の内容(このアドレスを管理者権限で追加してほしい)、③期限(今月末までに)、この3点だけで構いません。長く書くほど交渉らしくなるので、事務連絡の温度で送るほうが通ります。「弊社の管理アカウント配下なので個別の権限付与はできない」と説明された場合は、その運用ルールを書面でもらってください。書面にできる理由なのか、その場の断り文句なのかは、それで分かります。

社内では金額を添えると話が早くなります。月の広告費100万円なら年間1,200万円、手数料を含めればそれ以上で、その支出の記録の置き場所に自社が入れないのは稟議の観点から説明がつきません。

依頼に快く応じてもらえたなら、それ自体が良い材料です。逆に、明確な理由なく渋られたり、「弊社名義のアカウントなのでお渡しできません」と言われたりした場合は、契約書のアカウント帰属の条項を確認したうえで、今後の付き合い方を考える段階に入ります。名義ごと移す場合の具体的な手順は「広告アカウントの引き継ぎ手順」にまとめているので、実務はそちらを参照してください。なお、権限を得ても自社で設定を触る必要はありません。運用は任せたまま、見られる状態と動ける状態だけを手元に置く。それがこの依頼のゴールです。

5. 新規契約時に最初に決めておくこと

これから代理店と契約する、または契約し直す方は、開設前のひと言ですべてが簡単になります。決めておくべきことは3つです。

1つ目は、アカウントを自社名義で開設する(自社で開設して代理店を招待する)ことで、不慣れであれば「画面を共有しながら一緒に開設してほしい」と頼めば済みます。難しい作業ではありません。

2つ目は、自社が管理者権限を持ち、代理店には運用に必要な権限を付与する形にすることです。権限は個人ではなくメールアドレス単位で付与されるため、自社側は個人アドレスではなく、たとえば広告担当の共有アドレスのように組織で管理できるアドレスを使ってください。担当者が退職した瞬間に権限が宙に浮く、という事故はこれだけで防げます。

3つ目は、契約書に「アカウントおよびデータの帰属は広告主とする」「契約終了時の取り扱い」を明記しておくことです。文言は難しく考えなくてよく、「本件広告アカウントおよび当該アカウントに蓄積されたデータは甲(広告主)に帰属し、契約終了時は甲の指示に従い移管または権限を返還する」といった一文があれば足ります。運用が始まってからでは交渉ごとになりますが、契約前であれば条件のすり合わせの一項目として片づきます。

この3点は、代理店を疑うための条項ではありません。むしろ、きちんとした代理店ほどこの形を標準にしています。契約前の段階でこの依頼を嫌がる相手ならその時点で見送る判断もできるので、名義と権限の扱いは代理店選びの試金石としても機能するわけです。ほかにどんな観点で見るかは「広告代理店の評価基準」に、乗り換えを前提にした確認項目は「広告代理店を乗り換える前のチェック」にまとめています。

広告費は毎月出ていくお金ですが、アカウントは積み上がっていく資産です。資産の置き場所を自社の管理下に置くことは、発注側だけで完結できる数少ない仕事です。ただし、届くのはそこまでです。権限を得て開いた画面の中で、コンバージョン(CV、問い合わせや購入などの成果地点のこと)の計測が合っているか、検索語句が荒れていないか、入札の設計が自社の利益構造に合っているか。この3点は権限を持っただけでは見えません。名義と権限は鍵にすぎず、中を読むのはまた別の作業です。

※ 権限は取れたけれど、中身の読み方が分からないという方へ ― 「アドサプリ」は読み取り専用の権限で毎月の状態を確認し、事業の言葉で報告します。代理店を替える前提のサービスではありません。診断レポートのサンプル(無料)で内容をご確認いただけます。

よくある質問

Q. 代理店に権限の返還を求めたら、関係が気まずくなりませんか?

A. 「社内の情報管理方針で、委託先アカウントは自社で管理者権限を持つことになった」という形で、方針への対応として依頼すれば、角は立ちにくいです。広告アカウントのデータは広告主の資産であり、権限の依頼は正当なものなので、まともな代理店なら通常どおり応じます。明確な理由なく渋られた場合は、契約書の帰属条項を確認したうえで今後の体制を検討する材料にしてください。

Q. 管理者権限をもらっても、社内に管理画面を見られる人がいません。意味はありますか?

A. あります。毎日見る必要はなく、「いつでも見られる・いつでも動ける」状態を持っておくこと自体に意味があります。解約時にアカウントを失わない、外部の実務者に診断を依頼できる、変更履歴で過去の運用をたどれる、といった選択肢はすべて権限があって初めて成立します。見る時間がなければ、閲覧と確認を外部の診断サービスに任せる方法もあります。

Q. 代理店名義の広告アカウントは、解約したらどうなりますか?

A. 契約書の定め次第です。帰属や契約終了時の取り扱いが書かれていなければ、アカウントをどうするかは名義を持つ代理店側の判断になり、停止や削除もあり得ます。実務では、解約を切り出す前に自社アドレスへの管理者権限の付与を依頼し、権限を確保してから解約の話に進むのが安全です。権限さえ手元にあれば、配信データも過去の履歴もそのまま残ります。

この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム(運営:ライムクロス株式会社)。現役の広告運用者が、月次の広告アカウント診断「アドサプリ」を提供しています。

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