Google広告のアカウントが停止された:異議申し立ての書き方と、作り直してはいけない理由
広告が1本審査に落ちる「不承認」と、「アカウントの停止」はまったく重さが違います。不承認は広告の入れ替えで済みますが、停止はアカウント内のすべての広告が止まり、異議申し立てが認められるまで配信を再開できません。管理画面を開いたら赤い警告が出ていた。広告経由の問い合わせが突然ゼロになった。停止はそういう形で、ある日いきなりやってきます。
突然の出来事に焦って、その場の思いつきで動いてしまう方が少なくありませんが、中でも「新しいアカウントを作って出し直す」は、事態を最悪の方向に進める選択です。落ち着いてください。停止の理由を特定し、正しい窓口に正しい書き方で異議申し立てをする。遠回りに見えて、これが復活への唯一の本筋です。
この記事の要点
- 停止は不承認と別物。アカウント全体の配信が止まり、解除には異議申し立てが必要
- 主な停止理由は「ポリシー違反の繰り返し・重大な違反」「支払い関連」「システムの回避」の3系統
- 異議申し立ては、事実の確認と是正を済ませてから1回で通すつもりで書く。乱発は逆効果
- 新アカウントの作り直しは「システムの回避」に該当し、関連アカウントごと停止される恐れがある
1. 停止と不承認はどう違うか
2つの違いを最初に整理しておきます。ここを取り違えたまま動くと、打ち手そのものを間違えます。
| 項目 | 不承認 | アカウントの停止 |
|---|---|---|
| 影響の範囲 | その広告1本だけ | アカウント内のすべての広告 |
| 解除の方法 | 広告を修正して保存(自動で再審査) | 異議申し立てを提出し、審査を待つ |
| 解決までの目安 | 多くは1営業日以内 | 数営業日〜数週間。ケースによる |
| 頻度 | 日常的に起こる | まれ。ただし起こると影響が大きい |
停止されると、管理画面の上部に警告が表示され、登録メールアドレスに理由を記載した通知が届くので、まずこの通知を最後まで読み、どのポリシー名・どの理由が書かれているかを正確に控えてください。ここを飛ばして「とにかく解除してほしい」と申し立てに走る人が多いのですが、理由によって提出すべき是正の中身がまったく変わるため、控えを取らないまま出した申し立ては、判断材料がないという理由でそのまま否認されます。
2. 主な停止理由は3系統
停止理由は数十種類ありますが、日本の中小規模の広告主が実際に遭遇するものは、おおむね次の3系統に集約されます。
①ポリシー違反の繰り返し・重大な違反
不承認を理由から直さず、文言を少し変えて出し直すことを繰り返す。あるいは、不実表示のような重大なポリシーに触れる。こうした場合、措置は広告単位からアカウント単位へ引き上げられます。段階は3つです。対象となる15項目のポリシーについては、1回目の違反警告でアカウントが3日間の一時停止、その警告から90日以内に同じポリシーへ再違反すると2回目で7日間の一時停止、3回目で強制停止という順に重くなります。Googleは利用者保護を目的に、悪質と判断した違反には警告なしで即時停止する運用も明示しています。自社に悪意がなくても、リンク先の情報不足や事業者情報の不備が「信頼できない広告主」と映ってしまうことがあります。
②支払い関連
広告費の未払い、決済の失敗の放置、チャージバック(カード会社経由での支払い取り消し)、不正の疑いがある支払い情報などが該当します。技術的な決済エラーが引き金のケースでは、支払い方法を更新して未払いを解消すれば比較的早く解決に向かいますので、左メニューの「料金」で、未払い残高とエラーの有無を確認してください。
③システムの回避
審査や停止措置をすり抜けようとする行為全般を指します。最も重いカテゴリの1つです。停止されたアカウントの持ち主が新しいアカウントを作る、審査通過後にリンク先の内容を差し替える、規制対象の語句を記号や画像で偽装する、といった行為が該当します。ここに該当すると判断された場合。解除のハードルは他の理由より格段に上がります。
知っておきたいのは、停止は多くの場合、前触れなしではないという点で、Googleはポリシーヘルプの中で、悪質と判断したケースを除き、原則として停止の7日前に警告を通知すると明記しています。警告の段階で該当箇所を是正できれば、停止そのものを回避できる可能性がありますが、広告アカウントに登録したメールアドレスを普段見ない受信箱にしていると、この7日間をまるごと逃します。通知先の設定は今日にでも確認してください。
なお、身に覚えがまったくないのに停止された、というケースも存在し、誤判定もゼロではありませんし、サイトの改ざんや、共有している支払い情報・ドメインが原因で巻き込まれることもあります。「心当たりがない」こと自体は珍しくないので、その場合も感情的にならず、次章の手順で事実を整理してください。
※ 停止の多くは、日頃の運用の癖の延長線上で起こります。危ない兆候が溜まっていないかの外部チェックは、読み取り専用(閲覧のみ)の権限だけで完結します ― 実際の診断レポートのサンプル(無料)でチェック項目をご覧いただけます。
3. 異議申し立ての手順と書き方
解除を求める窓口は、管理画面の警告表示や通知メールから案内される異議申し立て(再審査請求)のフォームです。手順としては、①通知に書かれた停止理由のポリシーを読み込む、②自社の広告・リンク先・支払い情報のどこが該当し得るかを洗い出す、③該当箇所をすべて是正する、④是正した内容を添えて申し立てを提出する、の順です。理由が支払い関連なら、申し立ての前に未払いの解消と支払い方法の更新を済ませておくのが前提になります。
書き方には明確なコツがあります。審査するのは事情を知らない相手です。次の3点を短く具体的に書いてください。1点目は、原因と考えられる事実。「リンク先の会社概要ページに所在地と連絡先の記載が不足していました」のように特定します。2点目は、実施した是正。「所在地・電話番号・特定商取引法に基づく表記を追加しました」のように、確認できる形で示します。3点目は、再発防止の運用。「入稿前にポリシー照合のチェックリストを通す体制にしました」といった内容です。「何も悪いことはしていません、早く解除してください」という感情の訴えだけの申し立ては、判断材料がないため通りにくいのが実情です。
誰が書くかも意外に大切です。運用を代理店に任せている場合、フォームの操作は代理店ができても、事業の実態、リンク先の記載、支払い情報の事情といった事実関係は広告主側にしか分かりません。代理店任せの定型文ではなく、両者で事実を突き合わせてから提出するほうが、申し立ての中身は格段に濃くなります。逆にアカウントの名義自体が代理店側にあると、広告主が自分で申し立てできず対応が遅れる、という構造的な問題も起こります。
そして、提出は1回で通すつもりで丁寧に準備してください。是正が済んでいない状態で焦って出すと否認され、否認の履歴が積み重なるほど後の審査は慎重になっていきます。順番はあくまで「是正が先、申し立てが後」です。
4. 復活までの現実的な時間感
異議申し立ての結果は、内容が単純なケースでは数営業日で届くこともありますが、システムの回避のような重い理由では数週間かかることも珍しくありません。米国の広告業界メディアや復旧支援業者の報告でも、一次回答は早い一方で、複雑な案件のやり取りが1カ月以上に及ぶ例が紹介されています。確約できる期限は存在しない、というのが正直なところです。
だからこそ、待つ間の事業への影響を先に手当てしてください。損失は日数に比例します。広告経由の問い合わせが月20件あった会社なら、停止が3週間続けば単純計算で15件前後を失い、問い合わせ1件が生む売上の期待値を10万円と置けば、機会損失は150万円規模という計算です。SEOやSNS、既存顧客への案内など、広告以外の入口を一時的に厚くする判断も並行して進める価値があります。また、Yahoo!広告やMeta広告など他媒体のアカウントが健在なら、その期間だけ配信比重を移す手もあります。
時間感の見積りを誤らせる要因がもう1つあります。審査からの返信が来るたびに追加の資料や説明を求められ、1往復ごとに数日を要するやり取りが続くパターンです。最初の提出時に、原因・是正・再発防止の3点を証拠込みで出し切っておくことは、通る確率だけでなく所要時間の短縮にも効きます。3週間を1週間に縮められるかどうかは、初回提出の完成度にかかっていると考えてください。
5. 新アカウントの作り直しが危険な理由
停止されたとき、誰もが一度は考えるのが「新しいアカウントを作れば済むのでは」という道です。結論を言うと、これはやってはいけません。停止中の広告主が別アカウントで配信を試みる行為そのものが「システムの回避」ポリシーの違反例として明記されているからです。
Googleのシステムは、支払い情報、ドメイン、住所、アカウント間の関連などから同一の広告主を検出します。新アカウントは高い確率で検出されて停止され、しかも「回避を試みた」という事実が記録に加わります。元のアカウントの解除交渉は難しくなり、最悪の場合、関連するアカウントがまとめて停止されて再起の道が閉ざされ、目先の1週間を惜しんで、その広告主名義の未来を失う取引です。割に合いません。「別の社員の名前でアカウントを作る」「別ドメインのサイトを急ごしらえする」といった変形も、検出の観点では同じ穴のむじなです。
同じ理由で、「新規アカウントで即復活させます」とうたう復旧代行業者にも注意が必要で、その手法自体が回避行為なら、依頼した広告主が結果を引き受けることになります。広告アカウントは事業のインフラです。名義と権限を自社で正しく持つことの意味は「アカウントの名義と権限」の記事でも書いたとおりで、停止時の対応力にも直結します。
6. 停止は「起きてから」より「起きる前」
異議申し立ての成否は、実のところ停止前の運用状態でほぼ決まっています。不承認を都度潰していたか。リンク先に事業者としての基本情報がそろっていたか。支払いエラーを放置しなかったか。日々の地味な衛生管理が、いざというときの説明材料になります。
予防として今日からできることを3点だけ挙げます。1点目、不承認が出たら必ずポリシー名を確認し、理由から直す(文言の小細工で逃げない)。2点目、支払い方法は主とは別に予備のカードを登録し、決済エラーの通知を見逃さない体制にする。3点目、リンク先に会社名・所在地・連絡先・返金や解約の条件など、事業者としての基本情報を明記しておく。どれも1時間もかからない作業です。審査側から見た信頼性を大きく左右します。
広告を学び始めたばかりの段階では、どの癖が危険なのかを自分で判別するのが難しいものです。月に一度、外部の実務者の目でアカウントの健全性を確認してもらいながら学ぶ、という進め方は、停止のような取り返しのつきにくい事故への保険として機能します。事故対応の世界には「一番安い消火は、火が出る前の点検」という言い方がありますが、広告アカウントも同じで、停止からの復旧に費やす数週間と比べれば、月に一度の点検にかかる手間は取るに足りません。今まさに停止と向き合っている方は、まず通知のポリシー名の確認から。まだ停止を経験していない方は、警告メールが届く通知先の確認から始めてください。
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よくある質問
Q. 異議申し立ては何回でも出せますか?
A. 回数の上限が公表されているわけではありませんが、同じ内容での再提出を繰り返すのは得策ではありません。乱発は逆効果です。否認されたら、前回の申し立てで足りなかった事実や是正を追加できるときにだけ再提出する、と考えてください。準備不足の申し立てを重ねるより、1回分の内容を濃くするほうが解除の可能性は上がります。
Q. 停止中でも管理画面のデータは見られますか?
A. 停止されるのは広告の配信であり、アカウントへのログインや過去データの閲覧は通常可能です。停止期間中こそ、過去の不承認履歴や変更履歴をさかのぼって、どの操作や入稿のあとに警告が出たのかという原因の仮説を固める時間に充てると、次の申し立ての中身が具体的になります。なお未払いがある場合、その支払い義務は停止後も残ります。
この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム(運営:ライムクロス株式会社)。現役の広告運用者が、月次の広告アカウント診断「アドサプリ」を提供しています。
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