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飲食店の店主がスマートフォンの予約画面とレジ横の予約台帳を見比べているイメージ

飲食店・店舗ビジネスにリスティング広告は向いているか:来店を測る方法と役割分担

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リスティング広告マーケティング戦略

飲食店・店舗ビジネスにリスティング広告は向いているか:来店を測る方法と役割分担

アドサプリ運営チーム2026.08.29
飲食店の店主がスマートフォンの予約画面とレジ横の予約台帳を見比べているイメージ

「うちの店でもGoogle広告は効きますか」。飲食店や小売店のオーナーからよく受ける質問で、同業が出しているらしい、代理店の営業電話を受けた、という文脈がほとんどで、判断材料を持たないまま検討が始まっています。

結論から言えば、店舗ビジネスのリスティング広告は向き不向きがはっきり分かれます。分かれ目は、来店の動機が検索という行動になって現れるかどうかで、ここを確かめずに出稿すると、1回の来店を取るために客単価より高い広告費を払う構図に簡単に落ちます。少額予算での全般的な考え方は「少額予算でGoogle広告は成果が出るか」に譲り、この記事では店舗固有の条件だけを扱います。

この記事の要点

  • 日常利用の来店は検索されない。リスティング広告が効くのは「目的を持って店を探す」需要がある店
  • Googleビジネスプロフィール(地図枠。MEOとも呼ばれる)とグルメサイトは役割が重なる。同じ枠を三重に買っていないか先に確認する
  • 単価の高い検索(宴会・接待・法人・出張対応)は粗利で見ると広告費を吸収できる
  • 来店は計測しにくい。電話・ネット予約・クーポン表示のどれかをCVとして固定しないと評価が始まらない

1. 向く店と向かない店を分けるもの

出稿前に確かめることが1つ。自分の店を必要とする人が、来店の前に検索するかどうかです。

駅前のラーメン店を想像してください。近所の人は検索せずに通りがかりで入り、遠方の人は「ラーメン 新宿」で検索した後、地図やグルメサイトの一覧から選びますが、この一覧の中でリスティング広告の枠が果たす役割は限定的です。一方、「歓送迎会 個室 30人 池袋」を検索している幹事は、条件に合う店を能動的に探しており、比較して問い合わせます。この差が向き不向きの正体です。

向きやすい 向きにくい
宴会・接待・記念日など、条件を指定して探される利用 日常のランチ・カフェ利用
予約が前提で客単価が高い(1組1万円以上) 客単価1,000円前後で予約が発生しない
専門性がある(アレルギー対応、深夜営業、大人数対応) 同業が密集し、条件で差がつかない
来店1回の先にリピートや年次利用がある 一見客中心で再来店が読めない

数字で確かめると向かない側の厳しさが分かり、ランチの客単価1,200円、食材費と人件費(FLコスト)を売上の6割と置くと手残りは480円。クリック単価80円の広告で、クリックした人の2%が実際に来店したとすると、1来店あたりの広告費は80円÷0.02=4,000円で、480円の手残りに対して4,000円。何度計算しても合いません。日常利用の来店を広告で買うのは、この構造上むずかしいのです。

2. 地図(Googleビジネスプロフィール)とグルメサイトとの役割分担

店舗の集客経路はすでに何本も走っていて、整理しないまま広告を足すと、同じ人に三重に費用を払うことになります。

経路 拾える需要 費用の性質
Googleビジネスプロフィール(MEO) 「近くの◯◯」「エリア+業態」の地図検索 掲載自体は無料。運用の手間がコスト
グルメ・予約サイト サイト内で店を比較している層 月額掲載料+送客課金
リスティング広告 条件つきの検索、店名の指名検索 クリック課金。止め方と増やし方が自由

順番は決まっています。まずGoogleビジネスプロフィールを整えることからです。営業時間、写真、メニュー、予約リンク。ここが空欄だらけのまま広告を出しても、クリックした人が最終的に確認しに来る場所は貧弱なままで、条件を比べている段階で写真も口コミもそろった近隣店に流れます。飲食店向けの機能追加は継続的に行われており、Googleの公式ブログでもメニューや予約に関する機能の紹介が出ています。無料の枠です。先に埋めておく価値があります。

グルメサイトとの関係で見落とされがちなのが店名の指名検索で、自店の名前で検索したとき上位に出るのがグルメサイトのページだと、そこから予約された分は送客手数料の対象になります。自店サイトを指名検索の広告で押さえておけば、同じ来店を手数料なしで受けられる場合があります。指名の広告を出すべきかの判断軸は「ブランド指名キーワードに広告を出すべきか」に整理しました。

3. 来店という測りにくいCVをどう扱うか

店舗ビジネスで広告の評価が難しいのは、コンバージョン(CV、問い合わせや購入などの成果地点のこと)が店の中で起きるからです。広告をクリックした人が3日後にふらりと来店しても管理画面には何も記録されず、ここを放置すると、CPA(CV1件あたりにかかった広告費)が計算できず、良し悪しの判断が永遠に主観のままになります。

現実的な打ち手は、来店そのものではなく来店の直前の行動をCVに置くことです。使えるのは主に3つあります。

1つ目は電話です。飲食・美容・整備など、予約が電話で入る業種では最も件数の多いCVになります。広告経由の電話を専用番号で受けて回数を記録する方法が一般的で、設定の考え方は「電話コンバージョンの計測方法」にまとめています。2つ目はネット予約の完了で、予約システムの完了画面をCVに設定しますが、予約サイト側で受けている場合は自店サイト側に計測が入らないため、どちらで受けるかを決めておく必要があります。3つ目はクーポンの表示です。「この画面を提示で1杯サービス」というページを用意し、その表示をCVとして数える方法で、来店に近い行動を拾えます。

どれを選ぶにせよ、CVは1つに固定してください。電話とネット予約とクーポンを全部CVにして合算すると、1人の来店が2回3回と数えられ、CPAが実態の半分に見えます。主たるCVを1つ決めます。残りは補助的な指標として別枠で見るのが扱いやすい形です。

クーポンや価格の表示について

割引を打ち出す場合、比較対照になる「通常価格」の書き方には注意が要ります。消費者庁の考え方では、比較対照価格として使う価格は最近相当期間にわたって実際に販売されていた価格である必要があり、目安として過去8週間のうち過半の期間で販売されていたか、といった観点が示されています。実際に提供していない価格を並べて割引率を大きく見せる表示は、有利誤認と判断される余地があります。個別の表示の可否は消費者庁の資料や専門家に確認してください。

表示の話から、計測に戻ります。CVを1つに固定するという原則は簡単に見えますが、実際の店舗のアカウントでは、電話と予約システムとクーポンが別々の時期に別々の人の手で追加されていることが多く、気づけば3つが同時に数えられています。しかも二重計上はCPAが安く見える方向に効くので、画面の中だけを見ているかぎり違和感が出ません。自分で入れた設定を自分で疑うのは、いちばん難しい作業です。

※ 来店のCVが正しく数えられているか不安な方へ ― 電話とネット予約が二重に数えられていないかは、アカウントの中を見れば確認できます。実際の診断レポートのサンプル(無料)を用意しています。

4. 単価の高い検索を取りに行く

店舗の広告で成立しやすいのは、日常利用ではなく単価の高い利用です。宴会、接待、法事、記念日、法人の会議室利用、出張対応。1件あたりの粗利が大きいので、広告費を吸収できます。

実際に計算します。20名の宴会を1件受けたとして、1人5,000円なら売上10万円。宴会はコース原価率が低く、固定の人件費や家賃はランチでも発生している費用なので、ここでは食材原価と当日の追加人員だけを引いた手残りを6割=6万円と置きます。ここに広告費をいくらまで払えるか。クリック単価200円、問い合わせや予約に至る率が3%なら、CV1件あたりは200円÷0.03=約6,667円。問い合わせのうち実際に予約が確定するのが半分なら、1件の宴会を取るための広告費は6,667円÷0.5=約13,334円になります。手残り6万円に対して1万3,334円、およそ22%です。十分に成立します。

さらに宴会には翌年もあるという性質があり、幹事が同じ店を使い続ける確率を考えれば、初年度に手残りの22%を払う判断はもっと軽くなります。日常利用の来店では成立しなかった広告が、同じ店の別の需要では成立する。この切り分けが店舗広告の設計の中心です。

キーワードは、条件語を厚く持つのがコツです。「歓送迎会 個室 20人 大宮」「接待 和食 個室 名古屋駅」「法事 会食 座敷 世田谷」「忘年会 貸切 60人 京都」のように、人数・個室の有無・エリア・シーンを組み合わせた語が中心になります。単に「居酒屋 池袋」だけを買うと、日常利用と混ざって評価ができなくなります。

除外も同じくらい効きます。「レシピ」「作り方」「バイト」「求人」「メニュー 値段」「ランキング」「食べログ」あたりは、来店意図の薄いクリックを生みやすい語です。とくに求人系は、自店の名前で検索されたときに紛れ込みやすいので、初月から入れておくと無駄が減ります。

5. 季節と時間帯をどう設計するか

店舗の需要には山があります。歓送迎会なら3月と4月、忘年会なら11月と12月、法人の懇親会なら期末期首と、この山は毎年ほぼ同じ時期に来るので、予算を平らに置く理由がありません。

起点は開催日ではありません。実務では山の3週間から4週間前に配信を立ち上げますが、幹事が店を探し始めるのは開催日の1カ月前あたりで、当月に入ってからでは検索の多くが終わっています。前年の予約台帳を見て、予約が入り始めた時期の3週間前を起点にすると外しにくいです。

時間帯については、自動入札を使っている場合、曜日や時間帯の調整はかつてほど手を入れる場所ではなくなりましたが、店舗の場合、電話をCVにしていると営業時間外のクリックが電話につながらないという固有の事情があります。電話が主なCVで、営業時間外に受けられないなら、その時間帯の配信を止めるか、フォーム経由に誘導するページを別に用意する判断が要ります。考え方は「曜日・時間帯・地域の入札調整はまだ有効か」に詳しく書きました。

地域指定も店舗ならではの調整が必要で、飲食店なら店舗から半径2キロから5キロが基本ですが、宴会や記念日の検索は「わざわざ行く」需要なので、この半径を大きく超えて設定したほうが取りこぼしが減ります。キャンペーンを日常利用と目的来店で分け、地域の広さを変えるのが素直な組み方です。

6. 自分でやるとどこで止まるか

ここまでの内容は、店主やマネージャーが自分で設定できる範囲です。実際に自力で回している店も見てきました。それでも、時間が経つと同じ場所で止まります。

止まる理由は3つ。1つ目は、検索語句の点検が続かないことで、開店準備と閉店作業のあいだに管理画面を開き続けるのは、思っている以上に難しい作業です。2つ目はCVの二重計上です。電話とネット予約を両方数えていて、CPAが実際の半分に見えている状態は本人には見えません。3つ目は、季節の山が過ぎた後に配信設定が戻されないまま残ることで、忘年会シーズンの日予算が2月まで走り続けていた例は珍しくありません。

これらはどれも月に一度アカウントの中を通しで見れば分かるものですが、見る側に店舗業態の事情と広告の管理画面の両方が分かる必要があります。外の目に確認を頼む場合、読み取り専用(閲覧のみ)の権限だけで作業は完結しますし、今の代理店や制作会社を替える必要もありません。依頼の仕方は「集客を増やしてほしい」より、「宴会の検索でどれだけ取れているか、日常利用の検索にいくら使っているかを分けて出してほしい」と絞るほうが、返ってくる情報が使えるものになります。

店舗の広告は、向いていないと分かることにも価値があります。年間で数十万円を使う前に、その予算をGoogleビジネスプロフィールの整備や店内の予約導線に回したほうが良いという結論が出るなら、それは無駄な出費を止めた分だけ利益です。ただ、その「向いていない」を自店の管理画面から言い切るのは難しく、二重計上や前年の残骸が混ざった数字を材料に、向き不向きの判定まで自分で下すことになるからです。数字をそろえるところまでが店の仕事で、その数字が何を意味するかの判定は、外の目と並べて出すほうが確かです。

※ そもそも自店に広告が向いているか判断したい方へ ― 既存アカウントの検索語句と予約の内訳から、成立している需要と成立していない需要を切り分けられます。診断レポートのサンプル(無料)をご覧ください。

よくある質問

Q. グルメサイトへの掲載をやめて、その予算を広告に回すのはどうでしょうか?

A. 一気に切り替えるのは危険です。グルメサイト経由の予約が何件あり、そのうち何件が自店を知らなかった新規客かを先に確認してください。指名検索で自店を探した人がグルメサイト経由で予約しているだけなら、掲載を落としても取り戻せる可能性があります。逆に、サイト内の比較で初めて見つけられている割合が高いなら、その入口を閉じると来店が落ちます。3カ月ほど広告を並走させて、どちらから何件入ったかを台帳に記録してから決めるのが安全です。

Q. 予算は月いくらから始められますか?

A. 金額よりも、期間と検索の量から逆算するほうが現実的です。判断材料を作るには、狙う条件語で最低でも200から300クリックはためたいところで、クリック単価150円なら3万円から4万5,000円ぶんになります。これを1カ月で使い切るか2カ月に分けるかは、その語の検索量次第です。宴会シーズンのように山が短い場合、期間を延ばすと山を外すので、山の前に集中させる組み方になります。

この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム(運営:ライムクロス株式会社)。現役の広告運用者が、月次の広告アカウント診断「アドサプリ」を提供しています。

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