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アクセス推移のグラフとヒートマップが並ぶ分析画面

Data Strength Upliftとは:1stパーティデータの効果を数字で見る新指標とIP照合

アドサプリ運営チーム
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Data Strength Upliftとは:1stパーティデータの効果を数字で見る新指標とIP照合

アドサプリ運営チーム2026.10.19
アクセス推移のグラフとヒートマップが並ぶ分析画面

Data Strength Upliftは、広告主が渡した1stパーティデータによって回収できた追加のコンバージョン(CV、問い合わせや購入などの成果地点のこと)の数を推定する、Googleの新しい指標です。2026年9月10日に公式の広告・コマースブログで、Data Managerの拡張やMMMツールMeridianの機能追加と一緒に発表されました。実測ではなく推定値で、同じ記事に並んだ+26%・+11%・+14%・+20%超という4つの効果の数字にも、業種や期間を限った脚注が付いています。

見出しだけ追うと「データを渡せば渡すほど成果が伸びる」と読めますが、条件を読むと印象はだいぶ変わります。1つは金融業種だけの内部データですし、2つは2週間の集計です。そして同じ9月、Customer Matchのアップロード仕様にはIPアドレスと行動時刻の2列が加わり、メールアドレス以外の識別子で顧客を照合する道が開きました。6項目の発表、4つの脚注、2つの新しい列。

この記事の要点

  • 2026年9月10日の発表は6項目。提供中はData Manager APIとMeridianの一部(GeoX・ブランド指標)、残りは時期未明示
  • Data Strength Upliftは「1stパーティデータで回収できた追加CV数」の推定値。実測ではなく、予算判断の根拠にするには補助線が要る
  • +14%は金融業種のみ、+11%は1月の2週間。脚注を読まずに自社へ当てはめない
  • Customer MatchにIPアドレスと行動時刻の列が追加。EEA・英国・スイスは対象外で日本は使えるが、個人関連情報の扱いは専門家の確認を

CVの二重計上など、計測のずれを見つけて直し方まで書いた診断の例をご覧いただけます。

サンプルを見る(無料・その場でダウンロード)

1. 9月10日に発表された6項目と、今日の時点で使えるもの

発表者はGoogleの広告分析・計測担当VPのNipoon Malhotra氏です。項目ごとに提供状況を分けると次のようになります。公式記事の表現が「integrating」「launching」「introducing」と進行形で書かれているものは、2026年10月時点で提供時期が明示されていないと読むのが安全です。

項目 内容 提供状況(公式文言)
Data ManagerのGA4・DV360統合 Google アナリティクスとDisplay & Video 360に直接接続 時期の明示なし
拡張コンバージョンのGA4・DV360提供 両製品で提供開始 時期の明示なし
Data Manager API IAB Tech LabのECAPI標準ベースで媒体横断に 提供中
Data Managerの診断機能 キャンペーンに影響が出る前にデータの問題を検出 時期の明示なし
Data Strength Uplift指標 1stパーティデータの設定で回収できた追加CV数を推定 時期の明示なし(10月13日の公式ブログでも「launching」)
Meridianの機能追加 ブランド指標の取り込み、エージェント機能、GeoXの一般提供 ブランド指標とGeoXは提供中

使えるのは2つです。

Meridianは統計モデルを自前で回せる人員がいる会社向けの道具なので(GeoXは「Meridian GeoX」で扱いました)、この記事では上の5項目を扱います。

拡張コンバージョンの設定方法そのものは「拡張コンバージョンの2026年仕様変更」に書いたとおりで、Google広告側は単一のトグルに統合済みです。GA4側での提供を待つ理由はないので、まだ有効にしていないなら順番はそちらが先になります。

2. Data Strength Upliftは何を数えているのか

公式記事の定義は1文です。「1stパーティデータの設定によって回収された追加のコンバージョンを計算し、影響を数値化する」。ここでいうCVの「回収」とは、Cookieの制限やブラウザの仕様で広告クリックと成果が結びつかなくなっていた分を、メールアドレスなどのハッシュ化した自社データで照合し直して拾えた件数、という意味です。

推定値です。実測ではありません。

この区別が実務で効きます。たとえば月のCVが100件のアカウントでUpliftが「12件」と表示されたとき、それは「1stパーティデータがなければ88件しか計測できなかったはず」というGoogleの統計モデルによる見積りであって、12件の問い合わせが新たに発生したわけではありません。売上が12%増えたのでもなく、計測できる件数が88件から100件へ約14%広がった、が正しい読み方です。

では何の役に立つのか。使いどころは2つあると考えています。1つ目は、自動入札に渡っているCVの量が増えたかどうかの確認で、学習に使えるデータが増えれば入札の精度は上がりやすくなります。2つ目は、計測設定の工数を社内で説明する材料です。拡張コンバージョンやData Manager接続の作業は、やってもレポート上の数字が派手には変わらないので、予算を持つ側に意義を伝えにくい。回収できたCVが数字で出れば、その説明は楽になります。

避けたい使い方は、この数字をそのまま広告費の増額根拠にすることです。推定の前提はGoogleの内部モデルで、広告主側から検算する手段はありません。1stパーティデータの集め方の全体像は「ファーストパーティデータ戦略」に譲り、ここでは「Upliftは計測の指標であって成果の指標ではない」という一線だけ覚えておいてください。

3. 4つの数字の脚注を読む

冒頭の4つの数字を、公式記事の脚注どおりに条件つきで並べ直します。

インクリメンタルROAS(ROAS=売上÷広告費×100)平均+26%。条件は、オフラインまたはアプリのデータをData Managerに接続した広告主の、CV価値で入札する検索キャンペーン。期間は2025年4月から2026年4月の1年間で、対象はグローバル。4つの中ではいちばん読みやすい数字です。

検索CV平均+11%。拡張コンバージョンを、標準のコンバージョンインポートと比べた数字で、期間は2026年1月1日から14日までの2週間。年始の2週間は多くの業種で需要の動きが特殊なので、自社に当てはめるなら参考値程度です。

CV平均+14%。Google tag gatewayを使った広告主の数字ですが、脚注には「Global, Finance」とあり、金融業種に限った内部データです。2024年7月から12月と2025年1月から6月の比較で、全業種の平均ではありません。PPC Landが2026年9月11日の記事でこの点を指摘しています。

Demand Genで+20%超。期間は2026年6月3日から17日までの2週間です。

4つとも、Googleが自社の広告商品の効果を自社のデータで示した数字で、独立した検証はありません。業種・期間・比較対象が違えば、同じ設定で同じ幅は出ません。そしてこの「自社の場合はどうか」は、Googleの発表を読んでも、自社の管理画面をどれだけ眺めても答えが出ません。計測設定を組んだ本人は、その設定が拾い損ねているCVを見つけられない構造にいるからです。

※ 拡張コンバージョンやData Managerを設定したものの、本当に効いているのか判断がつかない方へ ― 読み取り専用(閲覧のみ)の権限で、計測設定とCVの回収状況を確認する月次診断があります。実際の診断レポートのサンプル(無料)を用意しています。

4. Customer MatchにIPアドレスと行動時刻の列が加わった

9月の発表と並行して、Customer Matchの照合キーが増えています。経緯は2段階です。

まず2026年5月28日、Google広告の開発者ブログで、Data Manager APIに「CompositeData」という型が追加されました。従来のUserData(メールアドレスや電話番号のハッシュ)に、IpDataを組み合わせて送れる仕組みで、IpDataはIPアドレスが必須、観測の開始時刻と終了時刻は任意だが推奨、とされています。IPv4とIPv6の両方に対応し、ハッシュ化はせず平文で送ります。マッチ率の向上は2026年第3四半期以降と告知されました。

次に2026年9月25日、Search Engine Landが、Google広告のヘルプにあるデータファイルのアップロード仕様に「User IP address」「User Interaction timestamp」の2列が加わったと報じました。公式ヘルプのページには改訂日が記載されていないため、UIへの追加日そのものは特定できていません。

仕組みはこうです。メールアドレスの照合は、相手がGoogleアカウントにそのアドレスを登録していないと成立しません。IPアドレスと時刻の組み合わせなら、「その時刻にそのIPを使っていた最後のユーザー」に紐づけるため、メールが一致しない顧客にも届く可能性がある。これがマッチ率向上の理屈です。

制限が2つあります。1つ目は地域で、公式ヘルプに「EEA・英国・スイスに所在するエンドユーザーにはIP照合は対応しない」と明記されています。日本はこの除外に入らないので使えます。2つ目は製品で、PPC Landの2026年6月5日の記事によると、Display & Video 360のCustomer MatchはIP取り込みに対応していません。

日本で使う前に確認すべきことが1つあります。2022年4月1日に施行された改正個人情報保護法で「個人関連情報」の規定が設けられ、閲覧履歴や位置情報のように単体では個人を特定しない情報であっても、提供先で個人データとして取得されることが想定される場合には、あらかじめ本人の同意が得られていることの確認が求められる整理になりました。IPアドレスと行動時刻の組み合わせもこの類型に当たりうると考えられ、Googleに渡す行為がどう扱われるかは、データの取得経路と利用目的の記載次第で変わります。プライバシーポリシーの文言を含め、専門家の確認を推奨します。

運用面の懸念も書いておきます。企業のオフィスや、携帯回線で複数の契約者が同じIPを共有する環境では、「最後のユーザー」が別人である可能性があります。マッチ率が上がった分だけ精度が上がるとは限らず、既存顧客除外のリストに使う場合は、除外されるべき人が除外されない事故も起こり得ます。

5. 今日の管理画面で確認する3つの場所

Google広告の「ツール」から「Data Manager」を開きます。ここで見るのは、①接続済みのデータソースの一覧、②診断機能の表示有無、③Data Strength Upliftの指標が自アカウントに出ているか、の3点です。②と③は提供時期が明示されていないので、2026年10月時点で表示されていなくても設定ミスではありません。

次に、コンバージョンの設定画面で拡張コンバージョンのトグルを確認します。有効なら、Data Managerの診断が来たときに検出対象になります。Customer Matchを使っているなら、アップロードしているデータファイルの列構成を開き、IPアドレスと時刻の列を足すかどうかは前の章の確認を済ませてから決めてください。

ここまでは自分でできます。

できないのは、その設定で拾えているCVが、自社の商談や売上と照らして妥当な量なのかの判定です。Upliftが出るようになれば「回収できた分」は見えますが、「そもそも取りこぼしている分」は、Googleにも設定した本人にも見えません。レポートのCV数と社内の問い合わせ件数を並べる作業は「CV数と問い合わせ件数が合わない」に手順を書きましたが、その突き合わせの結果を読んで「この差は計測の限界か、設定の穴か」を切り分けるところで、設定を組んだ人の目は一度外れたほうが精度が出ます。

※ 計測設定の「穴」を外から見てほしい方へ ― 診断レポートではCVの回収状況、拡張コンバージョンの有効化、Customer Matchのリスト状態を確認項目に含めています。実際の診断レポートのサンプル(無料)で内容をご確認ください。今の運用体制を替える必要はありません。

よくある質問

Q. Data Strength Upliftが自分のアカウントに表示されないのは、設定が足りないからですか?

A. 設定不足とは限りません。2026年10月時点でGoogleはこの指標の提供時期を明示しておらず、公式記事の表現は「introducing」、10月13日の公式ブログでも「is launching」という進行形で、全アカウントに展開済みとは書かれていないからです。先に確認すべきは、拡張コンバージョンが有効か、Data Managerに自社データのソースが接続されているかの2点です。指標が出たときに意味のある数字になるのは、この2つが先に動いている場合だけです。

Q. IPアドレスをCustomer Matchに渡せば、マッチ率はどのくらい上がりますか?

A. Googleは具体的な上昇幅を公表していません。開発者ブログは2026年5月28日の記事で「マッチ率の向上は2026年第3四半期以降」と時期だけ示しています。向上の幅は、自社の顧客がGoogleアカウントにどのメールアドレスを登録しているかと、IPが固定か共有かで大きく変わるため、一律の目安は出せないというのが正直なところです。試すなら、既存のリストにIP列を追加する前後でリストのマッチ率の表示を記録し、自社の数字で見るしかありません。

この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム(運営:ライムクロス株式会社)。現役の広告運用者が、月次の広告アカウント診断「アドサプリ」を提供しています。

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