除外設定の初期セット:プレースメント・地域・年齢・デバイスをどこまで絞るか
除外設定は4種類ありますが、開設直後に絞るのは2つだけで足ります。地域はGoogle広告の既定値「所在地または関心対象地域」を「所在地」に変える。プレースメントはアカウント単位の除外リストを1本入れる。年齢とデバイスは、最初の30日は絞りません。クリック300件、コンバージョン(CV、問い合わせや購入などの成果地点のこと)が月30件に届く前に年齢やデバイスを削ると、学習に使えるデータが痩せて、削った理由が正しかったかどうかも分からなくなるからです。
絞る順番を間違えた例を1つ。関東の店舗向けアカウントで、地域を既定のまま開始し、同時にスマートフォンの入札を40%下げた担当者がいました。1か月後、表示の22%が関東以外、その大半は「関東に関心がある」海外からのアクセスで、CVはゼロ。スマートフォンを下げた効果は確かめようがありません。地域だけ先に直していれば、22%の無駄は初日から消えていました。
この記事の要点
- 初期セット=地域を「所在地」に限定、プレースメント除外リストをアカウント単位で1本
- 年齢とデバイスは、クリックとCVの数字がたまってから判断すること
- 目標広告費用対効果やコンバージョン数の最大化では、デバイスの調整は−100%(配信停止)しか効かない
- 絞りすぎは「表示が減ってCPAが変わらない」で見抜く
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サンプルを見る(無料・その場でダウンロード)1. 4種類の除外を、最初にやるものと後回しにするもので分ける
除外には性格の違いがあります。地域とプレースメントは「そもそも売れない相手」を外す守りの設定です。関東の店舗に来られない人、子ども向けゲームアプリの中の広告枠。ここに出た広告費は、どれだけ学習が進んでも戻ってきません。
年齢とデバイスは違います。「売れにくそうな相手」を外す攻めの設定で、外すかどうかは数字を見てから決める性質のものです。40代以上にしか売れないと思っていた商材が、実際には20代の購入が3割を占めていた、という例は珍しくありません。思い込みで先に削ると、その3割は永久に見えなくなります。
| 除外の種類 | 初期セット | 判断の材料 | 触る時期の目安 |
|---|---|---|---|
| 地域 | 「所在地」に限定。商圏外は除外 | 配送・来店できる範囲 | 開設当日 |
| プレースメント | アカウント単位の除外リスト1本 | アプリ・子ども向け・無関係カテゴリ | 開設当日+月1回追記 |
| 年齢 | 触らない(法令上の下限のみ) | 年齢別のCV数とCPA | CV30件以上たまってから |
| デバイス | 触らない | デバイス別のCVRとLPの表示崩れ | クリック300件以上たまってから |
この表の「触る時期」は目安で、業種によって前後します。ただ、順番は変わりません。守りを先に、攻めは数字を見てから。これだけ覚えておけば、最初の1か月で大きな失敗はしません。なお、除外キーワード(検索語句そのものを外す設定)はこの4種類とは別枠の、検索キャンペーンでいちばん効く除外ですが、主題記事が別にあるので本記事では扱わず、「検索語句レポートと除外キーワード」に譲ります。弊社が見てきた範囲でも、月予算30万円のアカウントで地域とプレースメントの除外を正しく入れただけで無駄な表示が2割前後減った例はいくつもありますが、その2割が本当に無駄だったかどうかを後から確かめる仕組みまで含めて初期セットだと考えてください。
1つだけ注意があります。除外は足すのは簡単で、戻すのは難しい。半年前に誰が何の理由で入れたか分からない除外が、新しいキャンペーンにも静かに効き続けている、というのが引き継ぎアカウントでいちばん多い症状です。
2. 地域:既定の「関心対象地域」を外すのが最初の仕事
Google広告ヘルプ「対象地域の設定」によると、地域ターゲティングの既定は、ユーザーの所在地と関心対象地域の「いずれか、またはその両方」に基づいて広告を掲載する設定です。関心対象地域とは、検索語句や過去の検索履歴から「その地域に関心がある」と判断されたユーザーのことで、海外から「東京 整体」と検索した人も含まれます。
店舗や訪問型のサービスなら、この既定値のままでは商圏外に出ます。キャンペーン設定の「地域」から「地域のオプション」を開き、「所在地:ターゲット地域にいるユーザー、またはターゲット地域を定期的に訪れるユーザー」を選ぶだけです。所要1分。全国配送のECでも、海外からのアクセスを切るために日本国内の「所在地」に限定しておくと、無効なクリックの相談がぐっと減ります。
除外の粒度は商圏で決めます。半径指定なら店舗から10〜15km、都道府県指定なら隣接県まで、という具合に「実際に来られる・届けられる範囲」より少しだけ広めに取り、1か月後に地域別レポートでCVがゼロの地域を外す。この2段階が、最初から狭く絞るより取りこぼしが少ないやり方です。Meta広告でも地域は、Advantage+オーディエンスで「制御」として扱われる数少ない項目の1つで、ここで指定した範囲の外には配信されません。
3. プレースメント:アカウント単位で1本入れて、月1回足す
ディスプレイ、動画、P-MAX、デマンド ジェネレーションを使うなら、プレースメントの除外はアカウント単位で持つのが基本です。Google広告ヘルプ「アカウント単位でプレースメントを除外する」によると、設定場所は2026年10月時点のメニュー名で「ツール」の「コンテンツの適合性」にある「除外プレースメント」で、アカウント単位の除外はキャンペーン単位と広告グループ単位の設定より優先されます。P-MAXの除外もこのアカウント単位で管理されます。
上限は1回の設定で20,000件、アカウント合計で65,000件。反映は通常12時間以内です。入れておく定番は3系統で、①子ども向けのアプリや動画チャンネル、②自社と無関係なカテゴリのアプリ(ゲーム、占い、着せ替えなど)、③自社の競合や採用ページのドメイン。「www.」を外してドメインを入れるとサブドメインやサブページまで除外されますが、example.comとexample.co.jpは別々に指定する必要があります。
1本入れたら終わりではありません。月1回、「キャンペーン」の「コンテンツ」でプレースメントのレポートを開き、クリックが10件以上あってCVがゼロの面、CPA(CV1件あたりにかかった広告費)が全体平均の3倍を超える面を追記します。この作業は15分で済みます。なお、YouTube全体(youtube.com)をキャンペーン単位で除外することはできず、特定のチャンネルや動画の除外か、コンテンツの適合性設定で対応します。2024年3月以降は検索パートナー ネットワーク上のサイトにもアカウント単位の除外が効くようになったので、検索キャンペーンでも一度は見ておく価値があります。
4. 年齢とデバイス:最初の30日は触らない
ここからは攻めの設定です。触らない理由は仕様にもあります。Google広告ヘルプ「入札単価調整について」によると、目標広告費用対効果やコンバージョン数の最大化などのスマート自動入札では、デバイスの調整は100%引き下げ(=配信停止)しか効かず、目標アクション単価では入札単価ではなく目標単価のほうが動きます。仕様の細部は「スマート自動入札時代の入札調整」で詳述しています。
つまり「スマートフォンを30%下げる」は、自動入札の下ではほぼ意味がありません。選べるのは出すか止めるかの2択。止めるなら根拠が要ります。ユーザー属性(年齢・性別・世帯収入)の調整幅は−90%から+900%ですが、こちらも同じ扱いです。
Meta広告はさらに割り切った設計です。Advantage+オーディエンスでは、地域・最低年齢・言語・カスタムオーディエンスの除外だけが「制御」で、年齢の範囲や性別は「提案」扱い。女性向けと指定しても、成果が見込めると判断されれば男性にも配信されます。年齢の上限を切りたくても、制御としては最低年齢しか置けません。
判断の目安を数字で置いておきます。デバイスなら、各デバイスのクリックが300件以上たまった時点で、CVR(クリックに対するCVの割合)が全体の半分以下、かつLP(広告のリンク先ページ)の表示崩れが確認できたら停止候補。年齢なら、CVが30件以上たまった時点で、ある年齢層のクリックが全体の20%以上あるのにCVがゼロなら除外候補。この「かつ」と「ゼロ」が肝心で、CPAが1.5倍程度の差なら、学習が進めば縮まることのほうが多いです。
そして、ここが自分では見えにくい部分です。除外が正しかったかどうかは、除外した相手がその後どうなったかを見ないと分かりませんが、除外した瞬間からその相手のデータは管理画面に出なくなります。つまり「外した判断の採点」は、外した本人には構造的にできない。残った数字が良くなったとしても、それが除外のおかげなのか季節要因なのかは切り分けられません。読み取り専用(閲覧のみ)の権限で状態を見るだけなら、今の運用体制はそのままで、別の目に判断の跡を追ってもらえます。
※ 自分の入れた除外が「効いている」のか「絞りすぎ」なのか、判断に迷う方へ ― 現役の運用者による月次診断では、除外設定とその影響を項目として見ています。実際の診断レポートのサンプル(無料)をご覧ください。
5. 絞りすぎのサインは「表示が減ったのにCPAが変わらない」
除外を入れた翌月、見る数字は2つだけです。表示回数とCPA。表示が半分に減ってCPAが下がったなら除外は効いています。表示が半分に減ってCVも半分、CPAは同じ。これが絞りすぎの典型で、売れる相手まで一緒に削っています。
数字で言えば、月の表示10万回・CV30件・CPA12,000円のアカウントが、除外後に表示5万回・CV28件・CPA11,000円になったなら成功です。表示5万回・CV15件・CPA12,000円なら、削った5万回の中に売れる人が15人分いたことになります。後者の場合は、直近に入れた除外を1つずつ戻し、2週間ずつ様子を見るしかありません。一度に全部戻すと、どれが原因だったかがまた分からなくなります。
もう1つの兆候は、インプレッションシェアの「予算による損失」が減っているのに配信量が増えないケースです。除外で配信先が狭くなりすぎると、予算が余っているのに出す先がない状態になり、入札だけが上がっていきます。「インプレッションシェアの読み方」の数字と並べると、この状態は早めに見つかります。
整理します。地域を所在地に限定し、プレースメントの除外リストを1本入れ、年齢とデバイスは数字がたまるまで待つ。ここまでは管理画面を開ける人なら誰でも今日できますし、月1回の追記も15分あれば回ります。手が止まるのは「待った末に出た数字で、本当に外してよいか」の判断で、外した相手のデータは外した瞬間に見えなくなるため、外した本人の手元には答え合わせの材料が残りません。その採点だけは、同じ画面を外側から見る人に任せるほうが、結果として広告費の無駄は少なくなります。
※ 除外の「戻し忘れ」や「絞りすぎ」を月1回だけ外から点検してほしい方へ ― 実際の診断レポートのサンプル(無料)を用意しています。
よくある質問
Q. 検索キャンペーンしか使っていません。プレースメント除外は不要ですか?
A. 検索ネットワークだけなら優先度は下がりますが、ゼロにはなりません。検索パートナー ネットワークに配信している場合、2024年3月以降はアカウント単位の除外がパートナーサイトにも効くので、パートナー経由のクリックが多くCVが出ていないなら、パートナー配信自体を切るかサイト単位で除外するかを選べます。まずは「ネットワーク」のセグメントで検索パートナーの数字を分けて見るところからで十分です。
Q. 年齢を「不明」にした層は除外したほうがいいですか?
A. 最初は残すのが無難です。「不明」はGoogleが年齢を推定できなかったユーザーのまとまりで、実際には全年齢が混ざっています。表示の2〜3割を占めることもあり、ここを切ると配信量が大きく落ちます。切るとしても、CVが30件以上たまり、「不明」層のCPAが他の層の2倍を超える状態が2か月続いてから。その前に切ると、学習に使えるデータを自分で減らすことになります。
この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム(運営:ライムクロス株式会社)。現役の広告運用者が、月次の広告アカウント診断「アドサプリ」を提供しています。
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