「Google広告って、自分でやるべきですか。それとも代理店に任せたほうがいいですか」。これは正解が一つに決まらない問いです。会社の規模、予算、社内に割ける時間によって答えが変わります。ここでは、ポジショントークを抜きにして、自社運用と外注それぞれの向き不向きを整理します。
この記事の要点
商品やお客さんのことを、社内の人がいちばん深く分かっている。これは自社運用の最大の武器です。広告文やLPの言葉に『中の人の解像度』が乗ると、外注では出せない刺さり方をします。月の予算がそれほど大きくなく、担当者が毎週アカウントを触る時間を確保できるなら、自社運用は十分に現実的です。
ただし、条件があります。検索語句の点検、除外、入札、計測の管理。これらを継続できること。最初の数ヶ月は学習コストもかかります。『片手間で月に一度ログインする』程度だと、たいてい無駄が溜まっていきます。
予算が大きい、複数媒体を回す、社内に運用に割ける人がいない。こういう場合は外注の出番です。経験のある運用者が入ると、立ち上げの遠回りを減らせます。問題は、当たり外れがあること、そして手数料の中身が見えにくいこと。前の記事でも触れましたが、『何をしてくれているか』が説明できる相手を選ぶのが肝心です。
ここがいちばん伝えたいところです。自社運用か外注かは、白か黒かではありません。たとえば、ふだんは自社で回しつつ、定期的に外部の運用者にアカウントを点検してもらう。あるいは、最初の設計だけプロに頼んで、運用は社内でやる。この『いいとこ取り』が、実はいちばん費用対効果が良かったりします。
自社運用の弱点は『見慣れによる盲点』です。毎日同じ画面を見ていると、無駄や設定漏れに気づけなくなる。外注の弱点は『中の解像度の薄さ』とコスト。なら、運用は自社で握りつつ、第三者の目だけ定期的に借りればいい。両方の弱点を補い合えます。
予算が小さく、社内に詳しい人と時間がある → 自社運用。予算が大きい、または社内に人がいない → 外注。自社で回しているが不安がある、または成果が頭打ち → 自社運用+定期的な外部点検。この3つで、たいていの会社は当てはまります。
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外注を選んだ会社でよく起きる失敗が、丸投げです。お金を払っているのだから全部やってくれるはず、と任せきりにして、レポートも読まない。これだと、運用がうまくいっているかを判断できず、成果が落ちても気づくのが遅れます。外注しても、最低限『何にいくら使って、何件取れているか』は自社で把握しておくべきです。商品の知識やお客さんの解像度は、結局あなたの会社がいちばん持っている。それを運用者に渡し続けるのが、外注を成功させるコツです。良い外注関係は、丸投げではなく二人三脚です。
将来的に社内で回したい、という会社も増えています。その場合に強くおすすめするのが、立ち上げの『設計』だけは経験者に入ってもらうことです。アカウントの構造、キャンペーンの分け方、計測の仕込み。この土台がいいかげんだと、あとからどれだけ運用を頑張っても伸び悩みます。逆に、土台さえしっかりしていれば、日々の運用は社内の人でも十分に回せます。家を建てるのと同じで、基礎をプロに任せ、内装は自分でやる、という分担が現実的です。
お金の面でも整理しておきます。代理店の手数料は、一般に広告費の20%前後。月の広告費が30万円なら、運用費に6万円が乗る計算です。これを高いと見るか妥当と見るかは、その6万円で生まれる改善が、6万円以上の価値を生むかどうか次第です。プロが入って無駄を月に7万円減らせるなら、手数料を払ってもお釣りが来ます。逆に、ほとんど触らない運用なら、その6万円はただのコストです。手数料は『金額』ではなく『費用対効果』で見るべきもの、というのが私の考えです。
自社運用にもコストはあります。ただし、それは現金ではなく『時間』という見えにくい形です。担当者が広告に週5時間を使うなら、その人件費は立派なコスト。広告運用に時間を取られて本来の仕事が進まないなら、外注したほうが会社全体としては得、ということも十分あります。自社か外注かは、現金だけでなく時間も天秤に乗せて考えてください。
『自分でやれているか不安だけど、まるごと外注するほどでもない』。実はこの層がいちばん多い。そういう方にこそ、運用は自分で握ったまま、第三者の点検だけ受けるという選択肢を知ってほしいのです。月に数万円をまるごと代理店に払う前に、運用は自社、点検だけ外、という中間の選択肢がある。これを知っているかどうかで、広告費の使い方はずいぶん変わります。
結局のところ、自社運用か外注かに唯一の正解はありません。あるのは『あなたの会社にとっての最適解』だけです。予算規模、社内のリソース、広告にかけられる時間、そして商品の特性。これらの組み合わせで答えは変わります。だからこそ、他社が外注しているから、知り合いが自社でやっているから、という理由で決めないでください。判断材料は、よそではなく自分の会社の中にあります。
一つ言えるのは、どの形を選ぶにしても、『広告アカウントの中で何が起きているか』を把握する目だけは、自社にも持っておいたほうがいいということです。全部を自分でやる必要はありません。でも、良し悪しを判断できる最低限の目があれば、外注しても任せきりにならず、自社運用でも独りよがりになりません。その目を育てる第一歩として、まず一度、誰かと一緒に自分のアカウントを覗いてみるのをおすすめします。
迷っている時間も、実はコストです。『自分でやるべきか、頼むべきか』と悩んでいる間にも、広告は配信され続け、無駄が出ているかもしれない。完璧な体制を一発で作ろうとせず、まずは今の状態を把握するところから始めてみてください。現状が見えれば、自社で続けるにしても外注するにしても、判断の精度が上がります。体制は、走りながら整えていけばいい。大事なのは、判断を先延ばしにしないことです。
個人的には、これからの時代は『完全自社』でも『完全外注』でもない、中間の形がもっと増えると思っています。運用の主導権は自社が握り、判断に迷う場面や定期点検だけ外部の専門家を頼る。ツールも進化して、専門家の知見を以前より手軽に借りられるようになってきました。全部を抱え込む必要も、全部を手放す必要もない。自社の事情に合わせて、必要な部分だけ外の力を借りる。そういう柔軟な発想で、自分の会社にちょうどいい形を探してみてください。
A. 手数料の最低金額に届かず断られるか、割高になりがちです。この規模なら自社運用+定期的な外部点検の組み合わせが費用対効果に優れます。
A. 第三者の運用者がアカウントを開き、無駄・設定漏れ・改善余地を優先順位付きで指摘します。運用の主導権は自社に残したまま、見慣れによる盲点だけを補えます。
この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム
複数業種のGoogle広告アカウントを日々運用する現役の広告運用者。アドサプリ(運営:ライムクロス株式会社)は、その運用者があなたのアカウントを実際に開いて診断し、改善手順をレポートで届けるサービスです。
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