「今の代理店、変えたほうがいいでしょうか」。これも本当によく相談されます。ただ、勢いで乗り換えても、引き継ぎで配信が止まったり、新しい代理店で同じ不満を繰り返したりすることがあります。乗り換えを決める前に、今のアカウントで確認してほしいことが5つあります。これを見れば、変えるべきか、続けるべきかの判断がかなり明確になります。
この記事の要点
これが最重要です。Google広告アカウントを代理店側で作られていて、自社に管理者権限がないと、乗り換えのときに過去データごと持ち出せないことがあります。学習データの蓄積はお金で買えない資産です。まず『うちはこのアカウントの管理者権限を持っているか』を確認してください。持っていなければ、乗り換えの前に権限の移管を交渉する必要があります。
毎月のレポートが『順調です』『最適化しました』ばかり、あるいは数字が並んでいるだけで説明がない場合、ブラックボックス化しています。検索語句やキーワード単位の数字、リンク先(LP)でどう成果につながったかまで含めて開示されているか。良い悪い以前に、判断材料が手元にない状態です。生のデータを見せてもらえるかどうかは、関係の健全さのバロメーターです。
広告費の20%が相場と言われますが、その20%で何をしてくれているのか。月に何回アカウントを触っているのか、何を改善したのか。説明を求めて言葉に詰まるなら、運用そのものが薄い可能性があります。
「Googleの仕様変更で」「競合が増えて」。外部要因はもちろんあります。ただ、毎回それで終わるなら、打ち手が尽きているサインかもしれません。同じ環境で成果を出しているアカウントは必ずあります。
厳しいことを言うと、成果が出ない原因が商品やLP、価格そのものにある場合、代理店を変えても結果は変わりません。広告は『良いものを、欲しい人に届ける』増幅装置であって、無から有は生みません。乗り換え前に、原因が運用にあるのか、その外にあるのかを切り分けるべきです。
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勢いで乗り換えて、かえって悪くなるケースも見てきました。いちばん多いのが、引き継ぎでの断絶です。前の代理店がアカウントの所有権を握っていて、新しい代理店がゼロから作り直す。すると、それまで溜まっていた機械学習のデータがリセットされ、立ち上げ直しで一時的に成果が落ちます。この『谷』を事前に説明されていないと、『乗り換えたら悪くなった』という印象だけが残ります。乗り換えるなら、既存アカウントを引き継げるかを必ず確認してください。
もう一つは、『安さ』だけで選んでしまうパターン。手数料が相場より大幅に安い場合、その分どこかで手間を省いています。多くの場合、それは『人が触る回数』です。月に一度しか触らない運用なら、安くて当然。でも、リスティング広告は手をかけた分だけ無駄が減る性質があるので、結局は割高につくことがあります。安さの裏で何が削られているかを見てください。
誤解してほしくないのですが、私は『乗り換えましょう』と煽りたいわけではありません。今の代理店がきちんと数字を見せ、手を動かし、改善を続けているなら、続けるのが正解です。長く付き合うほど、相手は商売の事情を深く理解してくれます。これは乗り換えでは買えない価値です。問題は、その判断を『なんとなくの不満』ではなく、事実にもとづいて下せているかどうかです。
もし乗り換えると決めたら、候補となる代理店には遠慮なく具体的な質問をぶつけてください。『うちの業界での運用実績はありますか』『月に何回アカウントを触りますか』『レポートでは検索語句やキーワード単位の数字も見せてもらえますか』『成果が出ないとき、何を根拠に次の手を決めますか』。これらにスラスラ答えられる相手は、運用に芯があります。逆に、抽象的な実績アピールばかりで具体に踏み込めない相手は、契約後も同じ調子になりがちです。提案資料のきれいさより、こうした即興の受け答えに本質が出ます。
もう一つ、契約形態も確認を。最低契約期間が長すぎないか、途中解約のときアカウントを返してもらえるか。ここを曖昧にしたまま始めると、いざ合わなかったときに身動きが取れません。良い相手ほど、こういう質問を嫌がりません。むしろ『いい質問ですね』と歓迎してくれるはずです。
病気でいきなり主治医を変えるより、まず別の医者に診てもらう。そのイメージと同じです。今のアカウントを第三者の運用者に見てもらえば、『代理店の運用が薄いのか』『そもそも商品やLPの問題なのか』が切り分けられます。これが分かれば、乗り換えるにせよ続けるにせよ、判断に根拠が持てます。感情ではなく事実で決められる。これが、後悔しない乗り換え判断の条件です。
最後に、私の本音を書きます。代理店を変えること自体は、目的ではなく手段です。本当のゴールは、広告から安定して問い合わせや売上が生まれること。その目的に照らせば、答えは『乗り換える』『今のまま続ける』『運用は自社に戻して点検だけ外注する』のどれにもなり得ます。大切なのは、今のアカウントで何が起きているかを正しく把握したうえで選ぶこと。情報がないまま雰囲気で決めるのが、いちばん損をします。まずは現状を可視化する。話はそこからです。
ちなみに、第三者に見てもらうとき、今の代理店に黙って受けることに後ろめたさを感じる必要はありません。家を買うときに複数の不動産屋を回るのと同じで、ごく普通の比較検討です。むしろ、外の意見を一度も入れずに長年同じ相手に任せ続けるほうが、リスクは静かに溜まっていきます。
乗り換えを考えるほど不満が溜まっているなら、それはアカウントが何かを訴えているサインです。その声を、感情のまま『もう変える』に直結させるのではなく、一度きちんと数字に翻訳してあげてください。何が、どれくらい、なぜ良くないのか。これが言葉になった瞬間、次にやるべきことは自ずと見えてきます。乗り換えるにせよ、続けるにせよ、その判断に自信が持てるようになる。回り道のようでいて、これがいちばん確実です。
広告は、長く付き合うほど資産が積み上がる世界です。学習データ、過去の検証結果、うまくいった広告文の蓄積。これらは一朝一夕には手に入りません。だからこそ、乗り換えは『リセットボタン』でもあることを忘れないでください。それでも変えるべき場面はありますが、その判断は、勢いではなく事実に基づいて下したい。今のアカウントの健康状態を正しく知ることが、その第一歩になります。
A. 受けられます。閲覧権限の付与だけで診断でき、家を買うときに複数の不動産屋を回るのと同じ、ごく普通の比較検討です。後ろめたさを感じる必要はありません。
A. 診断を受けること自体に支障はありません。むしろ更新判断の材料として、契約満了の1〜2ヶ月前に受けるのが最も効果的です。
この記事の執筆者:アドサプリ運営チーム
複数業種のGoogle広告アカウントを日々運用する現役の広告運用者。アドサプリ(運営:ライムクロス株式会社)は、その運用者があなたのアカウントを実際に開いて診断し、改善手順をレポートで届けるサービスです。
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